カテゴリー「ふろくの花園」の47件の記事

2021年8月 8日 (日)

ふろくの花園 61.人気キャラとふろくで応援! オリンピック

 紆余曲折を経て、1年遅れの“特別な時期”にようやく開幕した2度目の東京オリンピック。日本選手のメダルラッシュが連日報道され、獲得数は金も総数も過去最多とのこと。何だかんだ言っても始まってみれば地元開催で時差もなし、朝から晩まで画面の前で選手たちの活躍に声援を送るという日々も、いよいよ終盤戦です。

 前回の東京オリンピックは1964(昭和39)年10月にアジアで初めて開催され、戦後日本の復興と“TOKYO”を世界にアピールする絶好の機会となりました。

 日本中が熱狂し、少女雑誌の『りぼん』では開幕1か月前(9月3日)に発売する号を「オリンピック特集号」とし、本誌もふろくもオリンピックムード満載でした。(10.ニュースとふろく 昭和30・40年代 参照)
 『なかよし』でも、青・黄・黒・緑・赤の5色の輪で遊ぶ「五輪ゲーム マスコット輪なげ(1964年4月号)」や五輪マークや世界の国旗をモチーフにした「世界のブローチ・ワッペンセット(1964年10月号)」といった、“TOKYO1964”を意識したふろくが登場しています。

 これらはスポーツ競技を楽しむというよりも、少女たちにオリンピックや世界の国々について知ってもらうことに重点が置かれているようで、昭和30年代ならではの学習的要素を感じさせるふろく(4.ふろくでお勉強 参照)といえるでしょう。

 それから24年後の1988(昭和63)年、お隣の国・韓国でソウルオリンピックが行われます。アジアで2度目の夏季オリンピックというほかに、東西冷戦の終結を反映してアメリカとソ連(当時)が参加し、両陣営の国々が12年ぶりに顔をそろえることでも注目を集める大会となりました。

 その開幕に合わせて少女たちに届けられたふろくが、「ときめきトゥナイト ときめきスポーツランド コレクションノート(りぼん 1988年10月号)」です。

 人気連載漫画「ときめきトゥナイト」のキャラクターが、様々なスポーツに挑戦しているという設定でイラストが描かれたノートで、バレーボールや柔道、新体操などのメジャー競技だけでなく、フェンシングや馬術、ボートや射撃といったオリンピックならではの競技もとりあげていて、スポーツ気分がいっぱいです。
 巻末とじこみ「なるみちゃんのオリンピックMINI知識BOOK」には、オリンピックにつよくなれる豆知識が6ページに詰まっています。切りはなして折りたたむと手のひらサイズのミニブックに。

 このふろくを見たときに、最初は「10月号のふろく? 9月3日発売だとオリンピック終わってない?」と思いましたが、開会式は9月17日だったそう。今よりも遅かったのが意外でした。

 そして4年後の1992(平成4)年、7月25日からはじまるスペインでのバルセロナオリンピックにちなんだふろくが「ミラクル★ガールズ ガンバレ日本! オリンピックすごろく(なかよし 1992年7月号)」です。

 こちらも人気連載漫画「ミラクル★ガールズ」のキャラクターがオリンピックの競技種目に挑戦しているイラストが描かれています。
 「'92バルセロナオリンピック開催記念特別ふろく なかよし少女はすごろくでオリンピックに参加しよう!」のコピーで、開幕の1か月以上も前から(6月3日発売)少女たちのオリンピック気分を盛り上げました。
 開会式のスタートから、体操 → シンクロナイズドスイミング(当時) → ハードル走 → 100メートル走 → 個人メドレー → マラソンといろいろな競技をクリアして、いちばん先にゴールした人が金メダルというこのすごろく、開会式のマスには「入場行進にちこく 1つもどる」、体操のマスには「10点満点 3つすすむ」、シンクロや個人メドレーのマスには「不覚にもおぼれる 1回休み」、マラソンのマスには「給水所 1回休み」など、それぞれの競技にちなんだ指示がかかれていて、コピーどおりオリンピックに参加している気分が味わえます。
 「おもわず熱中しちゃったわ。友だちとワイワイやるときにピッタリ。何回もやってるんだけど、まだわたしが一番になったことがないんだ。くやし~~~。一番になる日までこのすごろくをやりつづけるゾ!」という読者からのおたよりも届きました。

 バルセロナオリンピックでは、水泳200m平泳ぎで岩崎恭子選手が当時史上最年少の14歳で金メダルをとったことが一大ニュースになりました。このすごろくで遊んだなかよし少女たちの応援が、少しだけお姉さんの岩崎選手にも届いたのかもしれませんね。

 ソウルオリンピックやバルセロナオリンピックが開催されたころのふろくは人気漫画のキャラクターグッズの色合いが濃く、昭和30年代のように時事ネタが取り入れられる余地はあまりありませんでした。(20.雑誌が生んだ人気者 (3)連載漫画のTVアニメ化 参照)
 それゆえに、4年に一度のスポーツの祭典であるオリンピックを人気漫画のキャラクターと一緒に楽しめるこれらのふろくは当時では画期的なものであり、オリンピックが持つ世の中への影響力〈パワー〉を改めて感じさせられました。

〈参考文献〉
『週刊昭和』 1号(昭和39年) 40号(昭和63・64年) 朝日新聞出版 2008・2009年
『週刊昭和タイムス』 1号(昭和39年) 47号(昭和63年) ディアゴスティーニ・ジャパン 2007・2008年
『週刊日録20世紀』 1964年 1988年 1992年 講談社 1997・1998年

2021年1月18日 (月)

ふろくの花園 60.定番ボードゲームは日本生まれ オセロゲーム

 白黒二面の丸いコマと8×8のマス目が入った緑色の盤を使い、相手の色のコマを自分の色のコマで挟み、ひっくり返して自分の色を増やしていく対戦ボードゲーム。

 みなさんは、この「オセロゲーム」で遊んだことはありますか?

 昭和50年代に少女時代を過ごした自分にとって、友だちや家族と遊んだゲームといえば、トランプと人生ゲーム、オセロゲームが3本柱で、どこの家にもあるものという印象でした。今や世界中で親しまれ、ゲーム機やネット上でも楽しめる、ボードゲームの定番中の定番ともいえるオセロゲームは、横文字の名前とスタイリッシュなデザインにもかかわらず、日本生まれのゲームなのです。

 オセロゲームが発売されたのは1973(昭和48)年。当時製薬会社に勤めていた長谷川五郎氏が、少年時代に碁石を使って生み出した遊びが原型となっています。オセロのコマ(正式には“石”)が白と黒なのは碁石を元にしているからだそう。会社の同僚や取引先に教えたところ、同じ対戦ゲームである囲碁や将棋よりも簡単なルールで10分ほどの短い時間で決着がつくことから人気が広まり、商品化されて発売に至りました。

 簡単なルールと短い時間で遊べるというだけでなく、白・黒・緑というシンプルなデザインと西洋風な名前がモダンでオシャレなイメージを当時の人々に与えたこともあったのでしょうか。オセロゲームは初年度に30万個、次年度には120万個を売り上げ、5万セットでヒットとされていたボードゲームとしては驚異的なブームを起こします。

 また1976(昭和51)年からはアメリカやイギリスなど海外への輸出も始まり、翌1977(昭和52)年には世界選手権が開催されるなど、一時のブームでは終わらずに世界的定番ゲームへの道を歩み始めました。

 ちなみにゲーム名の「オセロ」は、英文学者だった長谷川氏の父親が、シェイクスピアの戯曲『オセロ』から名付けたとのこと。黒人の将軍・オセロと白人の妻・デスデモーナを中心に敵味方がめまぐるしく寝返るというストーリーに、黒白のコマがひっくり返りながら形勢が次々変わっていくゲーム性をなぞらえたのです。緑色の盤面は、戯曲「オセロ」の戦いの舞台、イギリスの緑の平原をイメージしたといわれています。ということは、父親が国文学者だったら別の日本的な名前になっていたかもしれませんね。

 相手のコマを自分のコマで挟んでひっくり返し、自分のコマを増やしていく。この簡単なルールのおかげで、子どもたちも大人と一緒にオセロゲームを楽しむようになりました。

 学年誌『小学四年生』1974(昭和49)年1月号でオセロゲームが紹介され、「まず、このふろくで楽しんでみよう!」のコピーとともに翌2月号のふろくに登場。他の学年誌にもオセロゲームのふろくが付きました。昭和48年の発売時、オセロゲームの値段は2,200円でした。映画館入場料が800円、食パン一斤が70円、ビール大瓶1本が160円、大卒初任給が5万7000円、新聞購読料が月1,100円の時代に、2,200円のゲームが高く感じたか安く感じたかはわかりませんが、300円ぐらいの雑誌を買うだけで人気のゲームを自分の(家の)ものにできるのは、子どもたちだけでなく親にとってもありがたいことだったのでしょう。

 少女漫画誌のふろくには、学年誌から10年ほどの時間を経て、『りぼん』1985(昭和60)年6月号に本格的なオセロゲームがようやく登場しました。

 写真右:オセロゲーム(りぼん 昭和60年6月号)
 写真左:オセロゲーム(小学二年生 昭和50年4月号)※参考

 昭和40年代の終わりから昭和50年代の少女漫画誌のふろくは、雑誌生まれのスターである「マスコットキャラクター」(18.雑誌が生んだ人気者 (1)マスコットキャラクター 参照)と「人気漫画家」(19.雑誌が生んだ人気者 (2)憧れの先生・まんが家 参照)、そして「人気漫画」(20.雑誌が生んだ人気者 (3)連載漫画のTVアニメ化 参照)の紙製実用グッズ(21.規制への挑戦 (1)紙でどこまで作れるか 参照)が中心だったため、いかに人気のゲームとはいえ入り込む余地をなかなか作れなかったのかもしれません。実際「オセロゲーム」もこの号のトップふろくではなく、人気漫画の組み立てバッグ、別冊漫画、ビニールバッグに次ぐ4番手扱いでした。

 それでも、日本オセロ連盟公認のお墨付きをもらったこのふろく。タテ約20cm×ヨコ約17.5cmでコマ(石)の直径は約1.7cm。軽くて折りたたんで持ち歩けるのでどこででも遊べて、両端の黒い部分に入ったピンクのハートが少女らしさを感じさせます。

 本誌のふろく説明ページに「お父さんやお母さんに勝てるチャンス、大ありよ!」とあるように、一見単純に見えるオセロゲームのルールですが意外と奥が深く、初めに多くコマを取っていても終盤に一気に逆転されてしまうこともよくあり、最後まで気が抜けません。年代を問わず平等に対戦することができ、説明どおり子どもが大人に勝つチャンスも十分にあるのです。

 少女たちからは「私と妹はいつも2人でふろくを分け合ってるから、今月はオセロをやって買ったほうが好きなのをとれることにした」「オセロゲームありがとう、これは父からの伝言です。毎日私と父はオセロゲームばっかりやってます」といった感想が寄せられました。お父さんもトリコにしてしまった恐るべしふろく。家族のコミュニケーションにも一役買いましたね。

 今回、オセロゲームのことを調べて友だちや家族と対戦していたときのことを思い出し、相手のコマをひっくり返したときの“パチン”という音や感触、爽快感を久々に味わってみたくなりました。家で遊ぶことが多くなったこの時期ですが、PCやスマホの画面を見るだけでなく、アナログなボードゲームをもう一度楽しんでみる良い機会になりそうです。

〈参考文献〉
『学年誌が伝えた子ども文化史 昭和40~49年編』小学館 2018年
『日経ヒット商品番付 1971-2010』日経MJ(流通新聞)編 日本経済新聞出版社 2010年
『昭和Quanto〈クアント〉 最新懐かしオモチャヒットパレード』株式会社ネコ・パブリッシング 2008年
『週刊昭和タイムス 29号』(株)ディアゴスティーニ・ジャパン 2008年
『週刊日録20世紀 1973年』講談社 1997年
『戦後値段史年表』週刊朝日 編 朝日新聞社 1995年
「日本生まれのオセロ いまや世界のゲーム」読売新聞 昭和54年11月1日夕刊
「トピックス オセロ」読売新聞 昭和48年4月29日朝刊
「脚光を浴び出した新ゲーム オセロ」読売新聞 昭和48年4月12日夕刊
「オセロ公式サイト」株式会社メガハウス

2020年1月 3日 (金)

ふろくの花園 59.レアものゲットでコンプリート!? キャラクターカード

 新元号・令和の時代も2年目を迎えましたが、カードを使ったアナログな対戦ゲームは子どもたちの間で根強い人気を誇っています。友だちとの熱いバトルはもちろんのこと、いかに強いカードを集めていくかも楽しみの一つだそう。
 令和の前の前、昭和の時代に生まれた自分にとって、子どものころのカード集めといえば、お菓子のおまけのプロ野球選手カードやメンコ。それが平成に時代が変わると、いつのまにか「トレーディングカード」という横文字でオシャレなものに進化していました。

 トレーディングカードの「トレーディング(trading)」とはそもそも「取引」「貿易」の意味で、カード収集に置き換えると、相手と取引(交換・購入)しながら集めていくカードとなります。名刺やトランプぐらいの大きさで、アメリカでは子どものころから大リーグやアメリカンフットボール、バスケットボールなどのプロスポーツ選手のカードを集める伝統がありました。これらのカードは通常、数枚入りのパックで売られていて、どのカードが入っているかは買ってパックを開けてみないとわかりません。数パックに1枚の割合でしか入っていない特別なカードもあり、欲しいカードを手に入れられるかどうかは運の要素も多分に左右するという、結構罪なシステムなのです。それゆえに、ダブってしまったいらないカードを仲間同士で交換、もしくはカードを専門に取り扱うショップで購入するなどして、お目当てのカードを揃えていくことが重要なのです。

 日本では1991年に、このシステムのプロ野球選手カードが発売されたことを皮切りに、野茂英雄投手の大リーグでの活躍やマイケル・ジョーダン選手などの米プロバスケNBA人気も追い風となり、アメリカのトレーディングカード文化が広まっていきます。1994年ごろからは新聞記事にも「トレーディングカード」や略称の「トレカ」という言葉が使われ始め、世間一般にも周知されるようになりました。1997年ごろには輸入ウエアや雑貨を扱っている店で、人気ブランドのジーンズやスニーカーに混じりNBAのトレーディングカードが売られていて、若者たちの価値観ではジーンズやスニーカーと同列に、カッコイイものとしてカードが扱われていたようです。この頃にはプロ野球のほか、Jリーグやプロレス、競馬、アニメ、アイドルなど多彩なジャンルのカードが発売されるようになり、トレーディングカードの専門誌も登場。カード専門ショップは世代を超えた愛好家の交流の場としてにぎわうなど、トレーディングカードブームが巻き起こりました。

 子どもたちの間では、トレーディングカード文化が幕を開ける少し前、1980年代の終わりごろから「カードダス」という、アニメや漫画、ゲームのキャラクターが描かれたカードが人気となっていました。おもちゃ屋やスーパーなどに設置されているガチャガチャのような機械にお金を入れ、1枚20円または5枚100円で購入します。子どもたちのカード集めも、お菓子を買っておまけとして手に入れるのではなく、カードそのものにお金を払うようになっていくのです。カードの絵柄自体の魅力はもちろんのこと、トレーディングカード同様、シリーズの中のどのカードが出てくるかわからない、ホログラム加工でキラキラ光る特別なカードもあるなど、欲しいカードを手に入れるために、ついついもう1回お金を入れたくなってしまうギャンブル性やくじ引き感覚も、子どもたちの心をひきつけていたのでしょう。

 その後、1993年には「マジック:ザ・ギャザリング」、1996年には「ポケットモンスターカードゲーム」、1999年には「遊戯王」といった、カード集めとゲームの両方を楽しめるトレーディングカードゲームが続々と発売され、爆発的なブームとなりました。「レアものゲット(希少価値のあるカードを手に入れる)」「プレミア(付加価値がついて高価になっている)」「コンプリート(シリーズ全てのカードが集まったこと)」といった、横文字のコレクター用語を子どもたちが口にするようになるほど、トレーディングカード文化は人々の間に浸透していったのです。

 さて、ここからようやくふろくの話になります。

 『なかよし』では1993年、アニメ化もされて国民的な人気となった「セーラームーン」のキャラクターカードが、「セーラームーン スーパープレミアムカード(1993年8月号~1994年1月号)」としてふろくになりました。

 毎月2枚のカードが付き、6か月で全12枚を集めるこのふろくは、専用ファイルの「セーラームーン 公式カードファイル(1993年8月号)」がセットになっていて、決まった場所にカードを入れていくと永久保存版のコレクションが完成するというシステム。全てのカードにキラキラ光るホログラム加工がされていて、トレーディングカードでいうところのレアカードが当たった気分を毎月味わうことができるのです。裏面にはキャラクターの個人データも書かれています。アニメを見ているセーラームーンのファンも、このカードを目当てに普段は読まない『なかよし』を買い続けていたのではないでしょうか。

 『りぼん』では1998年に、人気まんがのキャラクターを集めた「りぼんスペシャルキャラクターカード(1998年10~12月号)」が登場しています。

 毎月2枚のカードが付き、3か月で全6枚のコレクションが完成。こちらのカードもホログラムやゴールドとシルバーでカッコよく光り、カードをしまっておくための「怪盗ジャンヌ カードファイル(1998年10月号)」がセットになっていました。

 カード集めはどちらかというと少年向けの趣味というイメージが強いかと思います。これまでの少女向けのカードふろくといえば、人気まんがのキャラクターが描かれたバースデーカードやクリスマスカード、ポストカード、時間割カードなど、裏面に何か書いて使ったり友だちに渡したりといった実用的な用途がメインでした。キャラクターを紹介する役割も持ち合わせていたカードふろくには、トランプやカルタがありましたが(29.少女とふろくの歳時記 お正月(後) 参照)、こちらも遊びの用途がメインといえるでしょう。

 数か月連続のシリーズふろくは新規読者獲得や継続購入への手段としては効果的なのですが、少女たちに向けて、実用的な用途がなくただ集めて眺めることを目的としたカードを送り続けることは、子どもたちの間でトレーディングカードが人気になってきたとはいえ、少女たちに受け入れられるか、当時の作り手側にとっては大きなチャレンジだったのかもしれません。
 しかし、そんな心配は無用でした。シールやメモ帳、折り紙など、いろいろなものを集めてきた少女たちはカードだって集めます。「好きなキャラクターでうれしい」「キラキラ光ってステキ」「ぜったい全部集める」といった感想が寄せられました。

 そして21世紀を迎えるころには、トレーディングカードの収集とゲーム遊びが子どもたちの間で流行しているという新聞記事が全国的に見られるようになります。

 日本中の子どもたちにトレーディングカード文化が根付いてきた時に、満を持して少女たちに届けられたのが「りぼんキャラクターカードコレクション(2002年5~10月号・2003年2~5月号・2003年10~2004年1月号)」です。なんと1年以上、3期にも渡る壮大なコレクションふろく。先に紹介した2つのキャラクターカードとの決定的な違いは、毎号買っても全てのカードが揃うわけではないということ。街で売っているトレーディングカード同様、オリジナルのパッケージに全種類の中から数枚がランダムに入っているため、どのカードがついてくるのかはわかりません。パッケージを開けるときのドキドキ感が味わえて、他のカードを持っているお友だちとの交換も楽しめます。中には全種類集めるために何冊も『りぼん』を買う少女もいたとか。
 コレクション用のファイルとして「ハルちゃん キャラクターカードコレクション スペシャルホルダー(2002年10月号)」が用意されました。ファイルではなく“ホルダー”にしているところが本格的でカッコイイですね。

 2002年6月号以降、キャラクターカードがふろくになる月には「キャラ・マスター コレちゃんがゆく!!」という1ページのカード情報コーナーが本誌に掲載されるようになりました。カンガルーのコレちゃんが、その月のキャラクターカードや読者のおたよりなどを紹介していきます。ちなみにコレちゃんは、おなかの袋の中にカードを集めている“りぼん最強のコレクター”という設定。通常のふろくコーナーから1つのふろくだけを独立させてしまうとは、キャラクターカードへの作り手側の力の入れようや、少女たちの注目度の高さがうかがえます。
 コンプリートは難しかったかもしれませんが、「学校でみんなで交換しまくっている」「このカードがきっかけで別の学校の友だちができた」「みんなでカードを持ってきて、じゃんけんで勝ったら負けた人からカードを1枚もらう」「男子もこのカードを集めているので男子と仲良くなれた」などの感想から、キャラクターカードは少女たちのコミュニケーションツールとして充分に機能していたようです。
 さらに、「カードの中から1枚引いて財布に入れればラッキーなお守りになる」「寝るときに好きなカードに願い事をする」「好きな男子に告白するときお気に入りのカードを持っていく」といったオリジナルの使い方の報告もあり、収集や交換が目的のカードに少女たち自身のアイデアで実用性を持たせていました。
 大人や少年が中心だったトレーディングカード文化を少女たちの世界に持ち込むことに成功したこのキャラクターカードは、21世紀初めの代表的なふろくといえるでしょう。

 21世紀に入ってからはふろくにファッション性が重視されるようになり、これまでの既定路線だった人気まんがのイラストが描かれたものは次第に減っていきました(25.新世紀のふろくの花園 (3)オシャレが大好き! 参照)。現在では、多数のまんがのキャラクターを長期間全面に押し出すことになるカードコレクションのようなふろくは難しいのではないでしょうか。
 トレーディングカードが子どもたちの間で盛り上がりを見せている時期と、人気まんがのイラストを大々的にふろくにできるギリギリの時期とが重なった、ある意味奇跡的なタイミングで生まれたふろくなのかもしれません。

〈参考文献〉
『トレーディングカード大百科』エニックス 1997年
『トレーディングカード&フィギュア完全ガイド』アスペクト 1997年
『トレーディングカードマガジン No.1 1997 Summer』高橋書店 1997年
『少年ブーム 昭和レトロの流行もの』串間努 著 晶文社 2003年
「スポーツカードいま人気」朝日新聞 1997年1月15日朝刊
「米のカード文化 日本進出中」AERA 1998年8月3日号
「スポーツカード 収集心くすぐる値段」朝日新聞 1998年8月17日夕刊
「お宝 値段じゃなくこだわり」朝日新聞 1998年10月31日夕刊
「トレーディングカードゲームが人気」毎日新聞 2000年8月19日地方版岩手
「1枚数万円も “現代のめんこ”」読売新聞 2001年1月26日夕刊
「子ども新語辞典14 トレカ」毎日新聞 2001年4月7日大阪夕刊
「トレーディングカードゲーム通じ友達の輪も」毎日新聞 2001年8月31日地方版鹿児島
「ニッポン流行記 トレーディングカードゲーム」読売新聞 2002年4月27日夕刊
「復活の秘訣9 トレーディングカード」読売新聞 2002年8月1日朝刊
「女の子だってカードに夢中」読売新聞 2005年10月8日夕刊

2019年1月31日 (木)

ふろくの花園 58.“プリクラ” 少女たちの放課後を変えた!?

 あと数か月で終わる平成。その30年余りで私たちの生活は様々な変化を遂げました。なかでも1995年は、携帯電話料金の自由化に続きPHSサービス開始、パソコンOS「Windows95」や液晶画面搭載のデジタルカメラ発売などで、コンピューター・携帯電話・デジタルカメラといったデジタル・ネットワーク機器が一般社会にも手が届くようになります。“1人に1台”時代の到来を告げたこの年は、通信すなわちコミュニケーションのテクノロジー化・デジタル化へと大きく舵を切ったターニングポイントといえるでしょう。

 時を同じくして、親指の先ほどの小さな写真シールが少女たちの前に現れます。これが少女たちの放課後をも変えることになったのです。

 このシールを少女たちに届けたプリントシール機、通称“プリクラ”は、自分の顔写真が入ったシールを作れるアミューズメントマシン。1995年7月に第1号となる「プリント倶楽部」がアトラス社とセガ・エンタープライゼス社との共同開発で発売され、ゲームセンターや行楽地などに設置されました。300円を入れて機械の前に立ち、画面の中から好きな枠や背景を選んで写真を撮り、写り具合を確認してボタンを押すと、1枚約1.5×2.5cmのシールに印刷されて16枚の1シートになって機械から出てくるしくみ。1996年に人気タレントがテレビ番組で紹介したことで注目されると他社からも同様の機械が次々と発売され、特に女子中高生の間では友だちと写真を撮って、シールを手帳や持ち物に貼ったり交換したり、新しい機種を探しに行ったりと、“プリクラ”が放課後の合言葉になるほどの一大ブームを巻き起こします。人気の機種には行列ができ、ゲームセンターの雰囲気が一気に華やかになりました。
 “プリクラ”という名称はアトラス社が商標登録しているため、他社製のものにはプリントシール機や写真シール機といった名称が使われています。しかし、一般的には「写真を撮ったらシールになって出てくるのはみんな“プリクラ”」というくらい呼び名がすでに定着したため、現在では各社で開発された同様の機械の総称・通称となっています。ホッチキスやセロテープのようなものでしょうか。

 憧れのパソコンやケータイ、デジカメがついに自分の家にもやってきた、とはいえまだまだ大人のモノだった1990年代後半、少女たちは“プリクラ”を通じてカジュアルなデジタル体験をしていました。これまで、少女たちにとって写真とは「大人に撮ってもらったものを見る」ことがほとんどでしたが、“プリクラ”では、撮った写真をプリント前に自分で確認して撮り直しができ、機種によっては自分で選んだ枠や柄を付けて好きな文字や絵を書き込むこともできます。これまで大人にやってもらっていたことが自分でできてオリジナルを作れるようになったことで、少女たちの自己表現の手段に写真が新たに加わり、これまで大人の領分だった写真やカメラの世界が少女たちの手にも届きました。
 自分でプロデュースした写真を気軽に入手できることと、もともと少女たちの間でシールが好まれていて、メモ帳やおりがみなどと同じく、小さくてかわいいものを集めたり交換したりしていたことが融合して、デジタル機器を通じた新しい自己表現とコミュニケーションが少女たちの間に誕生したのです。現在花盛りのSNSや“インスタ映え”の走りといえるのかもしれないですね。

 女子中高生よりも年少の少女たちに向けて、“プリクラ”ふろくが登場したのはブーム真っただ中の1997年のこと。彼女たちの“プリクラ”ライフと、それをかわいくサポートするふろくの数々を紹介していきましょう。

 “プリクラ”の大きな特徴は、シールを縁取る「フレーム」の絵柄や写真の背景を選んだり、芸能人との合成写真を作ったり、ペンタブレットによって自由に書き込んだりと、撮った写真に装飾を加える、いわゆる“デコる”ができたことでした。観光地などに置かれた「ご当地プリクラ」など、そこでしか撮れない「限定フレーム」には行列ができることもあったそうです。
 その人気を意識して、雑誌オリジナルフレームをつくるためのシールが次々と登場しました。撮影したシールに上から重ねて貼ることで、人気まんがキャラクターと一緒に写っているような“プリクラ”シールを作ることができるのです。

 「りぼんスペシャルシールコレクション フォトシール(りぼん 1997年6月号)」には、「今話題のプリクラ風シール。りぼんキャラたちのフレームのできあがり!」
 「りぼんオールスターシールコレクション とうめいシール(りぼん 1998年2月号)」には、「プリクラのフレームにもなるかわいいシールだよ」
 「プリクラおあそびシール(ちゃお 1998年3月号)」には、「写真やプリクラの上にはって、オリジナルフレームで楽しもう!」
 「はじけてB.B. はじけるプリクラシール(ちゃお 1998年8月号)」には、「B.B.のオリジナルプリクラフレームが手に入る!」「愛理と一緒のプリクラ完成よ」
 といった説明書きがあり、雑誌の「限定フレーム」であることを伝えています。
 「プリクラであそぼうシール(ちゃお 1997年8月号)」や「東京ミュウミュウ 変身着ぐるみシール(なかよし 2002年9月号)」は、撮った写真にヒゲや眼鏡、かぶりものをつけたり、着ぐるみを着せたりできる、茶目っ気たっぷりのデコシールです。友だちとも盛り上がれそうですね。
 「チョコミミ キューティ★プリントシール(りぼん 2006年3月号)」は、人気まんがのキャラクターが“プリクラ”を撮ったという設定のシールで、まんがのキャラクターも読者のみんなと同じように“プリクラ”を楽しんでるよ、という共感を与えています。自分のコレクションに加えることで、キャラクターとのシール交換を疑似体験できるという、ファンにはとってもうれしいふろくです。

 友だちと撮った、交換したシールを集めることも、少女たちの“プリクラ”ライフの重要なポイント。シールをどれくらい持っているかでコミュニケーションの質と量をはかっていた部分もあったようで、「たくさん集めるとえらい」や「1000枚集めると幸せになれる」という都市伝説のようなことも言われていたとか。そうして集めた“プリクラ”シールを大事にとっておくためのふろくが、手帳やアルバム、ケースでした。これらの手帳やアルバム類には、ページにシールを貼ったりはがしたりすることが自由にできる加工がされているものもありました。“プリクラ”シールを貼って集めるための手帳は“プリ帳”とも呼ばれ、少女たちの必需品となっています。

 「ゴックン!ぷーちょ ぷーちょプリクラノート(なかよし 2004年12月号)」は、112枚をストックできる貼ってはがせるシート。キャラクターが途中で数をカウントしているので、シールを今何枚貼っているかが一目でわかります。
 「みいファぷー スペシャルプリクラカードブック(ちゃお 1998年9月号)」は、お気に入りの“プリクラ”シールを貼ってリングでファイルする単語帳スタイル。
 「だって極上!!めちゃモテ委員長 はっぴー!キズナ☆プリ帳(ちゃお 2008年2月号)」は、貼ってはがせるシートが20ページついているボリュームたっぷりの“プリ帳”。かわいいデザインのシートに、“プリクラ”シールを楽しくコレクションできちゃいます。
 「みきなちゃん 1998年プリクラダイアリー(ちゃお 1998年1月号)」や「デリシャス! プリクラフォト日記(なかよし 1998年1月号)」、「B-ウォンテッド 夏休み!プリクラ日記(なかよし 2001年9月号)」といった、“プリクラ”シールを貼りながら思い出を書きこめる日記形式のアルバムのほか、「オールスターなかよし2004 スペシャルカレンダー(なかよし 2004年1月号)」は表紙ウラに“プリクラ”シールを100枚貼れるコーナーがあり、1年間の“プリクラ”アルバムを作ることができます。
 「しゅごキャラ! JUICY☆プリクラ缶ケース(なかよし 2009年3月号)」は、手のひらサイズの缶ケース。“プリクラ”シールだけでなく、友だちからのメモ手紙も一緒に入れておけます。

 とっておきの1枚は、“プリ帳”にとじておくだけではもったいない! そんな少女たちには、お気に入りの“プリクラ”シールを机の上に飾れるミニ写真立てや、貼って持ち歩けるマスコットがピッタリです。

 「夢のクレヨン王国 フォトシールギャラリー(なかよし 1998年8月号)」は、シールがテレビ画面や舞台、指名手配写真になっちゃう!? ユニークなフォトスタンドです。
 「ニーハオパオパオ ゆらゆらプリクラスタンド(なかよし 2008年7月号)」は、指でさわるとゆらゆらゆれるスタンド。
 「スマイルでいこう メモリアルプリクラスタンド(なかよし 1999年3月号)」は、なんと7枚の“プリクラ”シールを飾れるスタンド。ウラにはメッセージが書きこめるので、プレゼントにもOK。
 「ハローキティ ちゃおオリジナルメモリアルスタンド(ちゃお 2000年3月号)」は、人気キャラクター・ハローキティのイラストがついたクリア素材のスタンド。3種類の絵柄をその日の気分で変えられます。
 「チョコミミ プリチ→プリマシーン&オールスター・プリシール(りぼん 2007年2月号)」は、フォトスタンドだけど横から人気キャラの“プリクラ”風シールがどんどん出てくる、遊び心満載のふろくです。
 「カードキャプターさくら フォトシールネームタグ(なかよし 1997年8月号)」はかわいいネームタグ。台紙に名前を書いて“プリクラ”シールを貼り、ケースに入れてラミネートするとできあがり。
 「紗南ちゃん ピンキー・マスコット(りぼん 1997年8月号)」や「ピカチュウ ぷりくらマスコット(ちゃお 1997年11月号)」も、シールを貼るとバッグにつけられるラブリーなマスコットになります。
 さらに、「みるくSHAKE! 恋のプリクラおまもり(なかよし 2002年2月号)」は、好きな人の“プリクラ”シールを中に貼って、こっそりと持ち歩けるヒミツのおまもり。願いが叶うといいですね。

 “プリクラ”がブームになり、撮って使って集めてが当たり前になった1990年代の終わりごろから、ふろくの中での自己紹介・自己証明に変化が見えてきました。“プリクラ”シールが友だちとのコミュニケーションツールとしてだけでなく、自分自身を証明し自己を表現するツールとして世の中に認知されたことの現れといえるでしょう。

 「みい子&ぷーちゃん めいしメモパッド(ちゃお 1999年4月号)」や「わんころべえ よろしく!ネームカード(なかよし 1999年4月号)」、「ワーキング娘。 ひとことレター名刺(なかよし 2000年4月号)」といった名刺のふろくは、「37.少女とふろくの歳時記 新学期の友だちづくり」でも取りあげているのですが、“プリクラ”登場前は名前や住所など文字を書くだけだった名刺に、「しゃしんシールをはってね」という顔写真欄が加わりました。
 「うるきゅー チェリーブロッサムメモリーズ(なかよし 2001年3月号)」や「b-CLUB こうかんノート(ちゃお 2001年4月号)」といった、プロフ帳(34.少女とふろくの歳時記 卒業・思い出づくり 参照)や交換日記のふろくでは、自己紹介欄が、かつての「にがおえをかいてね」から「しゃしんシールをはってね」に変わっています。
 雑誌の読者であることの会員証「りぼんメンバーズカード(りぼん 1997年11月号)」にも、大人が持つ会員証のように顔写真欄があり、「ここにあなたのプリクラをはってね」と書かれています。少女たちにとって“プリクラ”シールは、もはや大人の証明写真と同等なのです。

 “プリクラ”のブームは、実は1997~1999年ごろのわずか2年ほどで、少女向けのふろくもこの時期に集中しています。2000年に、持ち歩ける“プリクラ”ともいえるカメラ付き携帯電話が発売されたことで人気は一時低迷しますが、21世紀を迎え高画質で画像の加工技術が進化した機種が登場すると再び脚光を浴び、美白やデカ目効果、全身撮影などが話題になりました。2004年に10代前半の少女たちを対象に行った調査によると、お小遣いの使い道のトップが「プリクラを撮りに行く」だそう。21世紀になっても“プリクラ”シールを使うふろくは登場しています。時代が進み、パソコンやスマホ、デジカメが少女たちの持ち物になっても、放課後のコミュニケーションをデジタル化した“プリクラ”は、一時のブームで終わらず少女たちの生活にすっかり溶け込みました。

 また、“プリクラ”は少女たちだけでなく、OLや主婦、男性、中高年の間でも気軽に利用されて私たちの生活の一部となっています。少子化の影響もあり、幅広い年齢層を取り込む動きが今後進んでいくとのこと。子どもや孫との三世代利用も多くなり、大人と子どもが同じレベルで楽しめる、世代間のコミュニケーションツールとしても大切な役割を果たしていくことでしょう。 

〈参考文献〉
『写真のなかの「わたし」 ポートレイトの歴史を読む』鳥原学 著 筑摩書房 2016年
『国産はじめて物語 世界に挑戦した日本製品の誕生秘話』レトロ商品研究所 編 ナナ・コーポレート・コミュニケーション 2003年
『別冊歴史読本 懐かしの昭和・平成流行事典 2001-1945』 新人物往来社 2002年
『週刊日録20世紀 1997年』講談社 1999年
「生活調べ隊 プリクラ20年 幅広い年代に」読売新聞 2015年11月10日朝刊
「それが時代のキーワードだ」モノ・マガジン No.563 2007年6月16日号
「データ透視図*小遣いの使い道」読売新聞 2004年9月21日夕刊
「87~99年ヒット商品グランドチャンピオン」日経トレンディ 1999年12月号
「'96 Best Sellers 30」日経トレンディ 1996年12月号

2018年2月17日 (土)

ふろくの花園 57.祝・平昌オリンピック金銀メダル! スケートふろく

 4年に一度行われるスポーツのビッグイベント、冬季オリンピック平昌大会がついに開幕しました。連日熱戦が繰り広げられ、日本人のメダルラッシュで盛り上がりを見せています。そこで今回は、男子シングルでワンツーフィニッシュという快挙を成し遂げた、冬季オリンピックの華・フィギュアスケートを取り上げたふろくを紹介します。

 日本では江戸時代からスケートに似た氷滑りという遊びが行われていて、東北や北陸では下駄の底に割り竹を取り付けたスケートが流行したそうです。1877(明治10)年に、北海道の札幌農学校(現在の北海道大学)の先生としてやってきたアメリカ人のブルックスが、持参したスケート靴で滑ったことで西洋的なスケートが伝えられました。その後、新渡戸稲造がアメリカ製スケート靴を元にした下駄スケートを開発して日本中に広まったり、長野県の諏訪湖には全国から愛好者が集まるなどスケート熱は年々高まり、明治時代の終わりごろには冬の代表的なスポーツとなりました。
 フィギュアスケートは、明治時代の終わりから大正時代の初めにかけて研究され、1922(大正11)年に初めての競技会が行われます。冬季オリンピックは1932(昭和7)年のレークプラシッド大会に日本選手が初出場し、1936(昭和11)年のガルミッシュ・パルテンキルヘン大会の稲田悦子さんが女子選手としての初出場でした。

 こうして、冬スポーツの定番となったスケートは子どもたちにも人気となり、昭和30年代の『なかよし』にもスケートにちなんだふろくが登場します。

 「スケートぐつブローチ(1959年2月号)」はピンク色のスケート靴をデザインしたブローチ。スケートを楽しむ少女たちにとって、自分のスケート靴を肩から下げてリンクに行くことは憧れの一つでした。「これからのおしゃれにぜひほしいピンク色のすてきなスケートぐつブローチが、あなたのものになります」というコピーからは、憧れのマイ・シューズ気分をこのふろくで少しでも味わってもらえればという、作り手の思いが伝わってくるようです。
 「世界のスケート切手シール(1964年1月号)」は、外国の切手風デザインのシール。次号予告の画像では、フィギュアスケートのペアと男女シングルのイラストが計6枚描かれています。昭和30~40年代にかけて子どもたちの間で起こった、世界の切手ブームを反映したふろくともいえるでしょう。

 雑誌生まれのスター作家たちが活躍する昭和50年代以降は、冬の号のふろく、特にカレンダーやポストカードといったイラストの美しさ・細やかさを全面に押し出せるものに、スケートシーンが描かれました。当時の少女たちにとって、スケートが冬の身近なレジャーになっていたことを感じ取れますね。

 写真①「なかよし1980ジャンボポスターカレンダー(なかよし 1980年1月号)」
 写真②「A子・秀子のビッグ・ポスター(りぼん 1978年1月号)」
 写真③「マリアン・ポストカード(りぼん 1979年1月号)」
 写真④「のえる&まりあ ウインター・ポーチ(りぼん 1998年12月号)」

 そして、フィギュアスケートを題材にした漫画も登場します。昭和30年代に全盛だったバレエ漫画の特徴である華やかな衣装・美しい動きとポーズに、演技に点数と順位がつく・ライバルとの勝負・勝利への努力・必殺技といったスポ根の要素を加え、さらにはパートナーとのLOVE要素も盛り込んで、少女向けスポーツ漫画の一ジャンルとして確立していきました。

 ここからは、『なかよし』『りぼん』『ちゃお』『ひとみ』に登場したフィギュアスケート漫画のふろくを紹介します。

 まずは、バレエ漫画全盛期の昭和35年に『なかよし』で連載された「別冊 小リスちゃん/中島利行(なかよし 1960年9月号~1962年3月号)」です。

 小リスちゃんこと上原ミワが東京に移り住み、お世話になっている家のおねえさん(元オリンピック選手)からフィギュアスケートを教わります。選手権大会に出るために練習にはげみテストで級を取ったり、アイスショーに飛び入りで出演したり、離れて暮らすお母さんを助けるためにアメリカのアイスショーに入ってしまったりという物語で、スポーツ漫画というよりは、“ミワちゃんはお母さんと幸せに暮らせるでしょうか”という母子もの色が強い作品のようです。「3.別冊がいっぱい」でも書きましたが、本誌の続きを別冊ふろくで楽しむスタイルだったため通しで読むことはできず、結末はどうなったのかがわかりませんでした。機会があれば最後まで読んでみたいです。
 主人公の名前「上原ミワ」は、1960年のスコーバレーオリンピックとバンクーバー世界選手権に出場した日本のトップ選手、福原美和さんと上野純子さんからとったのではないかと思われます。福原美和さんは1964年のインスブルックオリンピックで5位入賞を果たしました。上野純子さんは本誌のグラビアページにも登場しており、当時からフィギュアスケートが少女たちの注目を集めるスポーツだったことがわかります。

 『りぼん』『ちゃお』にもフィギュアスケート漫画の別冊ふろくが登場しました。

 写真①「別冊 クリスタル前奏曲〈プレリュード〉/森本里菜(りぼん 1997年2月号)」
 写真②「…そして3年/島貴子(ちゃお 1985年2月号 別冊 MY LOVE COMICS〈マイ ラブ コミックス〉より)」

 日本人選手が世界の舞台で次々と活躍しはじめると、スケートは自分でするだけでなく、“観る”スポーツにもなっていきます。『なかよし』『りぼん』『ちゃお』『ひとみ』の各誌でもフィギュアスケート漫画の連載が始まり、少女たちの人気を集めました。それに伴ってこれらのキャラクターが描かれたふろくも登場します。ただ残念なことに、スケート靴をはいていないイラストがほとんどでした。スタンプ、ティッシュ、ミニ占いカード、お年玉袋といった細々としたグッズには、全身を入れるのが難しかったのでしょう。その分、カレンダーや下じき、ポストカードなど、イラストを思う存分見せられるふろくでは、華麗なスケートシーンが描かれました。

 1977年に東京での世界選手権で佐野稔さんが銅メダル、1979年にウィーンでの世界選手権で渡部絵美さんが銅メダルと、日本人が初めて世界の表彰台に立った頃に連載された漫画が「虹色のトレース/田中雅子(ひとみ 1978年9月号~)」です。
 フィギュアスケートに憧れる少女・流音〈るね〉が、父親と離れながらも先輩の水城や友人に支えられ、持ち前のジャンプ力を武器にコーチやライバルと共に世界をめざしていく物語です。「17.新規参入-『ひとみ』の場合(後)」でも書きましたが、初心者が一からスケートを始めて選手になっていく過程がわかりやすく描かれています。私は当時小学校の低学年でしたが、この漫画がきっかけでフィギュアスケートに興味を持つようになりました。

 写真②「イラスト・ライティングシート(ひとみ 1979年11月号)」
 写真③「ひとみキャラクター あこがれシール(ひとみ 1979年11月号)」
 写真④「ひとみキャラクター★シール(ひとみ 1980年11月号)」

 渡部絵美さんが1980年のレークプラシッドオリンピックでのメダル獲得に向けて、日本中の期待と注目を集めていたころに連載されたのが「Mickey ミッキー/小椋冬美(りぼん 1980年2月号~)」です。
 フィギュアのチャンピオン・ミッキーは陽気で飾り気のないキャラクターで学園のアイドル的存在。男と恋には無関心と思われていた彼女にプレイボーイのグレイが急接近。さらには幼いころを知る謎の妖精シンシアも現れて…… スポ根ではなくスケートをやっている女の子のファンタスティックラブロマンで、フィギュアスケートの漫画への取り入れ方も、トキメキを忘れない『りぼん』らしさを感じる作品です。
 写真①「りぼんギャラリー・12(りぼん 1980年7月号)より」を透明下じきに入れて、学校に持って行ったことを思い出しました。

 日本のフィギュアスケート人気を盛り上げたのは、なんといっても伊藤みどりさんの活躍でしょう。天才的なジャンプ力で跳ぶトリプルアクセルを武器として、女子フィギュアを芸術からスポーツに大きく転換させました。1989年にパリでの世界選手権で日本人初優勝、1992年のアルベールビルオリンピックでは銀メダルで日本人初のオリンピックメダルに輝くなど、日本中にセンセーションを巻き起こします。その流れに乗るかのように、1994年のリレハンメルオリンピックで5位入賞した佐藤有香さんが、翌月行われた千葉・幕張での世界選手権で日本人2人目の世界チャンピオンになりました。

 その頃の『なかよし』と『ちゃお』で、フィギュアスケート漫画の連載が始まります。

 「THE チェリー・プロジェクト/武内直子(なかよし 1990年10月号~)」
 元オリンピック選手を父に持つスケート大好き少女・飛鳥ちえりの前に突然現れた元ジュニアチャンピオン・続正紀と2人の男子。学園祭でのスケートショーを成功させるために“チェリー・プロジェクト”を組むことになるが、そのプロジェクトの真の目的は、ちえりを続のペアスケーティングのパートナーに育て上げ、世界の舞台に立たせることだった。おなじみ「セーラームーン」の作者が描くスケートロマンで絵柄は華やか。ちえりと続のペアの行方のほか、ライバルとの対決、自分の欠点と向き合う努力、さらには必殺技とスポ根要素も盛り込んだ少女向けらしいスケート漫画です。

 写真①「ドリーム下じき(なかよし 1991年4月号)」
 写真②「なかよしオールスター 1991フラワードリームカレンダー(なかよし 1991年1月号)」
 写真③「チェリー キラキラギフトパック(なかよし 1991年5月号)」

 「ワン・モア・ジャンプ/赤石路代(ちゃお 1992年9月号~)」
 ペアで世界選手権の銀メダルをとった両親を持つ七瀬帝〈みかど〉。父親と双子の弟・皇〈こう〉を相次いで事故で亡くし母親はショックを受け入院、ひとりぼっちになった帝の前に、ロシアから母親の違う兄・トーマが現れます。トーマのコーチで帝は両親と皇の夢を継ぎ、フィギュアスケートの金メダルをめざすことに。低学年の少女向けですが本格的なスケート漫画で、当時の海外トップスケーターをモデルにしたと思われるライバルキャラも見どころの一つでした。

 写真①「1995CIAOカレンダー(ちゃお 1995年1月号)」
 写真②「ウインターポストカード(ちゃお 1992年12月号 ちゃおスペシャルカードBOOK より)」
 写真③「ハロウィンごあいさつカード(ちゃお 1994年11月号)」
 写真④「CIAO DESK CALENDAR 1994(ちゃお 1994年1月号)」
 写真⑤「帝ちゃん わくわく金メダルカセットレーベル(ちゃお 1993年11月号)」

 1998年の長野オリンピックを経て21世紀を迎えると、2004年にドルトムントでの世界選手権で優勝した荒川静香さんが、2006年のトリノオリンピックでは日本人初のオリンピック金メダルに輝いたり、2008年にヨーテボリでの世界選手権で優勝した浅田真央さんが2010年のバンクーバーオリンピックで銀メダルを獲得し、その後2度も世界チャンピオンになったり、2007年の東京と2011年のモスクワでの世界選手権で安藤美姫さんが優勝するなど、日本の女子フィギュアスケート界からは世界の頂点を狙える選手が続々登場し、世界屈指のフィギュア大国になります。
 が、それと相反するように『なかよし』『りぼん』『ちゃお』のスケートふろくはすっかり影をひそめてしまいました。フィギュアスケート漫画自体はいくつか掲載されていたのですが、読みきりだったり短期連載だったりで、ふろくになるほどのインパクトを少女たちに与えることはできなかったようです。スポーツ漫画自体、現在の『なかよし』『りぼん』『ちゃお』ではほとんど見られなくなりましたが、お姉さん世代やお母さん世代を対象にした漫画雑誌にはフィギュアスケート漫画がたびたび連載されています。年少読者には細かいルールをわかりやすく説明する必要があったり、努力・友情・勝利・必殺技のスポーツドラマ的展開が、今の少女たちには共感を得にくいのかもしれません。

 その一方で近年は、2010年のバンクーバーオリンピックで高橋大輔さんが銅メダルとなり日本人男子初のオリンピックメダルを獲得、翌月のトリノで行われた世界選手権で日本人男子初の世界チャンピオンになったり、2014年のソチオリンピックで羽生結弦選手が日本人男子初のオリンピック金メダルに輝いたことから、男子フィギュアの方に注目が集まってきたようで、男子選手が主人公のフィギュアスケート漫画が少年誌や青年誌に登場しています。
 そしてまさに今日、ちょうどこれを書いている途中で、羽生結弦選手の66年ぶりオリンピック連覇と宇野昌磨選手の銀メダルという歴史的快挙のニュースが飛び込んできました。これでまた男子フィギュアスケート人気が一段と高まることでしょう。ちなみに66年前にオリンピックを連覇した選手は、1948年サンモリッツ大会と1952年オスロ大会の男子シングル、アメリカのリチャード(ディック)・バットンさんだそうです。

 現在の日本女子フィギュアスケートは新世代の有望な選手たちが次々と育っており、タレント性のある選手がすでにメディアの注目を浴びています。
 きれいな衣装で美しい技を競い合うファッショナブルなスポーツであるフィギュアスケートは、ファッション性に重点をおいている現在の『なかよし』『りぼん』『ちゃお』とも親和性があるのではないでしょうか。フィギュアスケートの漫画やスケートモチーフのファッションアイテムなどのふろくが、そろそろまた登場しないかなと思っています。

 平昌オリンピックのフィギュアスケート競技は、アイスダンスと女子シングルを残すのみとなりました。選手のみなさんがベストを尽くした演技が、一つでも多く見られますように。

〈参考文献〉
『NHK美の壺 切手』NHK「美の壺」制作班 編 日本放送出版協会 2009年
『まるごとわかる「モノ」のはじまり百科 5.遊び・スポーツ』山口昌男 監修 日本図書センター 2004年
『フィギュアスケートへの招待』ダンスマガジン 編 新書館 2004年
『スケート教室 フィギュア・スピード・アイスホッケー』滝沢甲子彦 著 成美堂出版 1994年
『小学館入門百科シリーズ スケート入門』三野勉 著 小学館 1978年
『小学館入門百科シリーズ スキー・スケート入門』今野和明ほか 監修 小学館 1975年
『五輪で振り返る日本フィギュアスケート史』読売新聞 2018年1月1日朝刊第4部
『平成時代 写真で見る冬季五輪・パラリンピック』読売新聞 2018年1月28日朝刊

2017年4月28日 (金)

ふろくの花園 56.少女とふろくの歳時記 ついにブレイク!?の春イベント

 4月も中旬を過ぎると、東京のソメイヨシノはすっかり葉桜に変わりましたが、花咲く季節はまだまだこれからが本番です。

 さて今年は春先から、パステルカラーでカラフルに彩られた「たまご」と「ウサギ」がデザインされたモノ、そして「イースター」という言葉をやたらと街で見かけたような気がします。
 いつも食べているお菓子のパッケージが「たまご」と「ウサギ」のデザインに変わっていたり、デパートやコンビニで「たまご」と「ウサギ」の形をしたスイーツが販売されたり、スーパーで卵料理のレシピを配っていたり、ホテルではイースターをテーマにしたスイーツビュッフェが開催されたり、人気アーティストの新曲がイースターソングだったり、東京ディズニーランドに「たまご」と「ウサギ」にちなんだ新キャラクターが誕生したりなど、秋の「ハロウィン」(50.少女とふろくの歳時記 私たちのハッピー・ハロウィン♪  参照)に続くシーズンイベントとしてここ数年、来るか来るかと噂されていた「イースター」がついに今年、商業的にプレイクしたようです。

 そもそも「イースター」はキリスト教の重要な行事のひとつ。金曜日に十字架にかけられたキリストが3日目の日曜日に復活したことを祝う「復活祭」であるとともに、無事に冬を越せたことに感謝し春の訪れを喜び合う日でもあります。「イースター」という言葉は、キリスト教が広まる前から行われていた春の女神エストレの祭りからきたものだそう。
 その年によって日付が変わる移動祝祭日で、「春分の日の次の満月の後の最初の日曜日」と定められています。毎年3月下旬から4月下旬に行われることになり、今年(2017年)は4月16日に当たります。
 新しい命が生まれる「たまご」とたくさん子どもを産む「ウサギ」は復活のシンボルとして、イースターには欠かせない存在です。
 たまごのカラに色をぬり模様を描く「イースターエッグ」は、もともとはあざやかな色に染めたり、カラに細工をしたゆで卵でした。この風習はキリスト教が始まる前からあって、子孫繁栄を願ったものといわれています。この「イースターエッグ」を春のプレゼントとしてウサギが運んできてくれるそうです。家のあちこちに隠した「イースターエッグ」を探す遊び「エッグハント」も、イースターならではのお楽しみでしょう。

 日本では、2010年に東京ディズニーランドがイベントを始めたのをきっかけに、イースターの習慣が徐々に知られるようになったとされています。
 子どものころに絵本や漫画などで見て、イースターやイースターエッグのことを知ってはいましたが、当時はあくまでも外国のお祭りとしての認識で、自分の日々の生活とはかけ離れた場所で行われている風習に過ぎませんでした。
 その後、大手食品メーカーや小売り・サービス各社が期間限定の関連商品を展開、家族や友だちとのパーティーを提案するなど、販売促進のきっかけが少ない春に、イースターをシーズンイベントとして定着させ、市場を盛り上げようとする動きがでてきたのです。

 「ハロウィンの次はコレ!」という、「イースター」にかける各業界の気合いと熱気が届いたのでしょうか。ここ数年、季節感が消えつつあった少女向けふろくに、この「イースター」をとりあげた新たな「歳時記ふろく」がついに登場しました。

 「キョロちゃんイースター HAPPYメッセージカード(ちゃお 2017年4月号)」は、少女たちに人気のお菓子、チョコボールのキャラクター・キョロちゃんとコラボしたイースターデザインのメッセージカードです。
 旅行バッグ型とノート型、2種類のカードにはチョコボールの箱がセットできるので、メッセージを書いたらそのままプレゼントできます。新しいお友だちにはプロフ(37.少女とふろくの歳時記 新学期の友だちづくり 参照)がわりに渡して会話のきっかけに。春の友活の強い味方になってくれますよ。ヒミツのメッセージも書けるのでおまじないだってOK。願いをこめながら食べると、キョロちゃんのハッピーパワーで夢が叶っちゃうかもしれません。

 もうひとつは『ちゃお』の妹雑誌『ぷっちぐみ』のふろくから。「イースター スイーツスタンド(ぷっちぐみ 2017年3月号)」は、女子の憧れともいえる、ケーキやスコーン、サンドイッチを載せるアフタヌーンティーの3段スイーツスタンドをイメージしています。カラフルでかわいいイースターエッグのチップが約40個もついているので、エッグハントゲームや神経衰弱のようなエッグマッチゲームも楽しめます。イースターパーティーのテーブルに置いてスイーツやお料理を並べれば、ぐ~んと華やかになって雰囲気満点! パーティーをしなくても、ヘアアクセやネイルカラーなどのおしゃれグッズ、消しゴムやマスキングテープなどのステーショナリーといった、自分の好きなものを置いて机の上に飾れば、すぐに使えるしお片付けにも便利です。

 『ちゃお』『ぷっちぐみ』のほか、イースターのふろくをつけていない『なかよし』『りぼん』でも、本誌にイースターを紹介する記事を載せています。どちらかというと「キリスト教の復活祭」というよりも「春の訪れをお祝いするお祭り」のほうを強調していて、宗教的要素を和らげています。
 イースターエッグを作って部屋を飾ったり、友だちや家族とイースターパーティーを開いたり、卵料理を作ってイースター限定のお菓子を食べたり、ウサギのコスプレをしたり、ウサギのぬいぐるみをイースターバニーとして連れ歩いたりといった、少女たちならではのイースターの楽しみ方を提案しています。

 日本記念日協会によると、2016年のイースター関連の推計市場規模は前年に比べて25%増、5年間で2倍近くに成長していて、ハロウィーンよりも規模は小さいが、イースターの方が伸びが大きいとのこと。日付が毎年変わるわかりにくさはあるが、ここ数年で認知度も高まり企業も参加しやすくなったため、今後のサービス次第ではハロウィンのような定着も期待できそうです。
 イースターのシンボルである「たまご」と「ウサギ」は、どちらも少女たちに親しみやすいかわいらしさがあり、実際にこの2つをモチーフにしたキャラクターもすでに人気となっています。また「春分の日の次の満月の後の最初の日曜日」という、早口言葉か呪文のような日付の設定も、神秘的で不思議なモノに心惹かれる少女たちにはもってこい。春先のイベントなので卒業や新学期などの学校関連にも絡めやすく、イースターが少女たちの心をつかむ素養は十分にありそうです。ただ、新世紀のおしゃれ少女たちに何かを普及させるためにはファッション性も重要で、ハロウィンが爆発的に盛り上がったのはコスプレというファッション的要素も大きかったのかもしれません。

 来年(2018年)のイースターは4月1日です。そのころにはもしかしたら、少女たちがウサギのコスプレをしたり、ウサギのぬいぐるみを連れて街を歩いていたり、「たまご」や「ウサギ」をモチーフにしたファッション雑貨や文房具、アクサセリーが少女向けのふろくに登場するかもしれないですね。

 ※行事・風習の由来については諸説あります

〈参考文献〉
『イラストでわかる日本の伝統行事・行事食』谷田貝公昭 第1部監修、坂本廣子 第2部著 合同出版 2017年
『世界の国々と祝日』本村凌二 監修 理論社 2016年
『12か月の絵図鑑 季節を知る・遊ぶ・感じる』長谷川康男 監修 PHP研究所 2015年
『親子でたのしむ日本の行事』平凡社 2014年
『かこさとし こどもの行事 しぜんと生活 4月のまき』かこさとし 文・絵 小峰書店 2012年
『親子でいっしょに楽しもう! 四季の行事12か月』季節の遊びを楽しむ会 著 メイツ出版 2010年
『ポプラディア情報館 年中行事』新谷尚紀 監修 ポプラ社 2009年
『はじめて知る みんなの行事とくらし』学習研究社 2008年
『子どもに教える 今日はどんな日?』髙橋司 著 PHP研究所 2006年
『イースター:商機 バレンタインデー、ハロウィーンに続き SNSで拡散、女性客狙う』毎日新聞 2017年4月14日朝刊
『春はイースター 「第2のハロウィーン」へ…業界狙う次の商機」』東京新聞 2017年4月8日夕刊
『イースター商戦拡大中 キリスト教の春祭り』読売新聞 2016年3月22日朝刊

2016年12月23日 (金)

ふろくの花園 55.少女とふろくの歳時記 みんなでメリー・クリスマス♪

 クリスマスのふろくには、お部屋に飾るツリーやリースといった、クリスマス独自のアイテムだけでなく、みんなでクリスマスを楽しむためのものも登場しています。
 ここからは、友だちや家族などとのコミュニケーションツールとしてのクリスマスふろくを紹介していきましょう。

 まずは、年賀状(29.少女とふろくの歳時記 お正月(後) 参照)や暑中見舞い(45.少女とふろくの歳時記 暑中お見舞い申し上げます)と同じく、季節の挨拶に使うクリスマスカードです。1955(昭和30)年の『なかよし』『りぼん』創刊当初から年代を問わず登場してきた、クリスマスふろくの大定番ともいえるでしょう。先生方の美しいイラストやかわいいキャラクターが描かれたカードは、どれもクリスマスムード満点で、まさに少女漫画誌の本領発揮。1980年代に入ると、イラストだけでなく遊びごころもプラスされ、友だちに贈っても、自分の部屋に飾っても楽しめるふろくになっています。

 「ジグソーパズル・クリスマスカード(りぼん 1980年12月号)」や「スウのクリスマスジグソーカード(なかよし 1984年12月号)」、「ちびまる子ちゃん カード・パズル(りぼん 1990年12月号)」は、ジグソーパズルとしても遊べます。
 「魔法のほうき&クリスマスカード(なかよし 1986年12月号)」は願いがかなう“魔法のほうき”がついているカード。恋の願いをかけて憧れのカレに送れば、恋が実ることまちがいなし!
 「光るツリーのクリスマスカード(なかよし 1990年12月号)」は、ツリーの星が暗闇で光ります。
 「パラダイス・カフェ 香りのクリスマスケーキカード(なかよし 1991年12月号)」は、いちごの香りがついたスペシャルカード。
 「怪盗セイント・テール 絵がわりクリスマスカード(なかよし 1995年12月号)」は、カードを開くとイラストが早変わり! の仕掛けカードです。

 友だちとのプレゼント交換も、クリスマスの楽しみのひとつですね。プレゼントのラッピングに使いたくなるクリスマス用グッズも続々登場しています。 

 「りぼんアイドル6人+くまちゃん クリスマスラッピングペーパー(りぼん 1995年12月号)」は、とってもかわいいラッピングペーパーがなんと6種類! このペーパーでできるラッピングのやり方もついているから、すぐに使えて便利です。
 「ミルクちゃん クリア・ラッピングペーパー(りぼん 1996年12月号)」は、中のものが透けて見えるオシャレなラッピングペーパー。

 「メリークリスマスギフトBOX(なかよし 1977年12月号)」や「北〈ペー〉くん シェイシェイツリーボックス(なかよし 1986年12月号)」、「香澄ちゃん ツリー・ボックス(りぼん 1986年12月号)」は、クリスマスツリーをデザインしたおしゃれなプチボックスです。
 「ハッピーギフトBOX(なかよし 1987年12月号)」はリボンの形がかわいいボックス。
 「ミンミン あっとびっくりギフトボックス(なかよし 1990年12月号)」は、フタを開けるとキャラクターがとびだして、もらった人が名前どおり、“あっ!とびっくり”しちゃうギフトです。
 「るりちゃん クリスマス・バッグ(ちゃお 1995年12月号)」は、ちょっとしたプレゼントを渡すのにピッタリな手さげ袋。かわいい袋に入れて、ライバルに差をつけちゃおう。
 「鈴ちゃん キラキラ・リースバッグ(りぼん 2001年12月号)」は、上品なピンクパールがツヤツヤのバッグ。CDがピッタリ入るサイズです。
 「チャチャ きらきらメッセージシール(りぼん 1996年12月号)」は、ピカッと光るメタリック素材のシール。ひとことメッセージを書いてプレゼントにペタンと貼れちゃいます。

 カードとプレゼントの用意ができたら、次はクリスマスパーティの準備です。

 大人も子どももみんなでできるパーティゲームやクリスマスリースの作り方、クリスマスについての豆知識もわかる「まるちゃん わくわくクリスマスブック(りぼん 1988年12月号)」や、
 ケーキやカナッペなどパーティ用のお料理がバッチリ作れちゃう「未央ちゃん クリスマスパーティークッキングブック(りぼん 1991年12月号)」、
 リースやカード、オーナメントなどのクリスマスアイテムが手作りできたり、プレゼント交換や恋占いまで、女の子だけのクリスマスパーティーガイド「クリスマスパーティーブック(なかよし 1994年12月号)」、
 カードやツリーの作り方、ラッピングやクッキングのアイデアがいっぱい! みんなでいっしょにクリスマスを手作りできちゃう「クリスマス★パーフェクトブック(ちゃお 1998年12月号)」、
 お料理やクリスマスファッションほか、手作りパーティで盛り上がれるテクが満載の「ワーキング娘。 ゴールドクリスマスブック(なかよし 2000年12月号)」といった、
 ハンディサイズの実用別冊ふろくがお役立ちです。

 かわいいキャラクターが“ぜったいきてね!”と誘ってくれる「優ちゃん クリスマス招待カード(ちゃお 1993年12月号)」や、チケットを水でぬらすとパーティで行う出し物が浮かび上がってドキドキの「うぇるかむ! おたのしみパーティーチケット(なかよし 1991年12月号)」など、友だちにわたすパーティーの招待状も忘れずに。

 「シロちゃん テーブル・ネームスタンド(りぼん 1988年12月号)」に友だちの名前を書いて席に置いたら、準備OK!
 全員揃ったら、いよいよクリスマスパーティを始めましょう。

 「変装めがね(ちゃお 1988年12月号)」や「斉くん ダンディーアイマスク(りぼん 1997年12月号)」などの仮装グッズをつけると、みんなにバカウケ! いちやく人気者になれちゃいますよ。

 ワイワイ遊べるゲームも、パーティには欠かせないアイテムです。クリスマスパーティなので、クリスマスにちなんだゲームをやってみましょう。
 「わんころべえ うたってサンタゲーム(なかよし 1988年12月号)」は、同じ絵のカードを4枚そろえる競争。一番最初にそろった人が「あがり!」と叫んで、人数より1個少なく場に置いてあるコマを1個取ります。それに続いて他の人もコマを取り、取れなかった人が負け。負けた人は自分のスコア欄に「う」「た」「っ」「て」「サ」「ン」「タ」と負けるごとに書いていき、「うたってサンタ」が完成してしまったら、みんなの前で歌をうたわないといけません。罰ゲームもセットされて、ハラハラドキドキのゲームです。
 「いそいで!サンタさんゲーム(なかよし 1993年12月号)」は、プレーヤーがサンタさんになって、キャラクターの家へプレゼントを届けに行くすごろく形式のゲーム。まずはプレゼント、トナカイ、そりのカードを揃えて、プレゼントカードのウラに描かれたキャラクターの家にプレゼントを置きに行きます。プレゼントを全部配り終わったサンタさんが勝ち! 『なかよし』の人気漫画キャラクターが総出演のゲームで、どのキャラクターにプレゼントを届けに行けるかも楽しみのひとつです。
 「わんころべえ ドキドキパーティーゲーム(なかよし 1996年12月号)」は、クリスマスパーティーにきたカップルがパーティー会場を一周して、早くテーブルにもどったら勝ちという設定。1人で2個のコマを持ってサイコロで1個ずつ進めていき、2個のコマが両方ともゲーム盤を1周したらゴールです。他の人が同じマスに止まったら、もう1個のコマがそのマスを通過するまで進めなくなってしまうため、それぞれのコマをいかにうまく使い分けて進めていくかがコツ。場合によってはコマが2個ともストップしてしまうこともあり、順番が回ってきたときにサイコロの1の目を出すまでひたすらガマンし続けないといけない、なかなかハードなゲームです。

 くじ引き感覚で、クリスマスにちなんだ占いをやってみるのはいかかですか?
 「クリムちゃん めざせクリスマス占い(りぼん 1990年12月号)」は、好きな銀色の絵をコインでこすって出たキャラクターで今日の運勢を占います。
 「B-ウォンテッド ドキドキ・くつした占い(なかよし 2001年12月号)」は、家の窓をえんぴつでぬりつぶし、出てきた靴下の模様でクリスマスの運勢がわかります。
 どちらも本来は、クリスマスまでのカウントダウンとして1人で1日1回行う占いなのですが、あえてみんなで運試しというのもパーティならではの楽しみ方です。 

 パーティの最後に、おなじみのクリスマスソングをみんなで歌いましょう。
 「歌の別冊 クリスマスソング集(りぼん 1967年12月号)」は、「ジングルベル」や「もろ人こぞりて」など全部で8曲のクリスマスソングが入った歌集。反対側には当時人気の歌が入った「りぼん紅白歌合戦」もついていて、クリスマスから年末年始まで楽しめる一冊です。
 「クリスマスソングレコード(りぼん 1969年12月号)」は、「きよしこの夜」と「神のみ子」の2曲が入ったソノシート。お店で売っているレコードのようなステキなジャケットに入っています。美しい歌声に合わせて歌うと、クリスマスムードも盛り上がります。
 「とびだす! クリスマス・ソングブック(りぼん 1998年12月号)」は、立体絵本形式のとびだすクリスマスソングブック。『りぼん』の人気キャラクターと一緒に、「ジングルベル」「あわてんぼうのサンタクロース」「おめでとうクリスマス」「きよしこのよる」の4曲を歌えますよ。

 友だちや家族と一緒のにぎやかなクリスマスもいいけれど、本当は、大好きなカレと胸キュンなクリスマスを過ごせるようになりたいな……
 こんな秘かな野望を胸に抱く少女たちのために、クリスマスに向けた“恋する乙女”の願掛けふろくも届けられています。
 「クリスマス 占い・おまじないカード(ちゃお 1989年12月号)」は、カードに願いごとや欲しいプレゼントを書いて、ツリーにつるすとラッキーが訪れるカードと、好きな子の名前を書いてクリスマスの前々日まで身につけていると、恋が実ってクリスマスを一緒にすごせるというお守りカードがセットになっています。
 「ワイルドだもん クリスマス直前! おまじないBOOK(なかよし 2003年12月号)」は、大好きなカレとハッピークリスマスを迎えるためのキレイになるおまじない、大好きなカレにプレゼントを渡すとき助けてくれるおまじないなど、全部で6つの恋に効くおまじないを紹介。これで恋のチャンスをつかみましょう。めざせ両思い!
 1人でこっそりやっても、友だちとヒミツの集会を開いて恋バナしながら試しても、願いがかなえられるといいですね。

 このように、少女たちのクリスマスが楽しく思い出深いものになるよう、長い間全力でバックアップしてきたクリスマスふろくですが、新世紀を迎えて10年以上が過ぎた現在、様子が大きく変わってしまいました。

 「小川とゆかいな斎藤たち メリクリ!サンタのプレゼント占い☆(なかよし 2007年12月号)」や「飛び出す★ハッピークリスマスカード(りぼん 2007年12月号)」、「株式会社ラブコットン クリスマスツリー小物入れ(りぼん 2008年12月号)」の頃を最後に、ふろくの名前に「クリスマス」や「サンタ」などのキーワードが入った、クリスマスアイテムが見当たらなくなっています。少女漫画誌における最大のシーズンイベントといわんばかりの勢いだったクリスマスもついに、「お正月」(29.少女とふろくの歳時記 お正月(前) 参照)や「ひなまつり」(33.少女とふろくの歳時記 ひな祭り 参照)、「母の日」(39.少女とふろくの歳時記 お母さん、ありがとう 参照)などの他の年中行事と同様、ふろくから姿を消してしまったのです。

 1月の「お正月」から12月の「クリスマス」まで、少女たちが1年12か月に出会う、様々な季節の行事や習慣を取り上げたふろくをこれまで紹介してきましたが、今まであまり意識してこなかった、それぞれの行事の由来もふろくを通じて知ることができました。

 これら「歳時記ふろく」の全般的な傾向として、『なかよし』『りぼん』に教育的な役割があり、まだ漫画雑誌になっていなかった1960年代までと、人気漫画が花盛りでふろくが登場人物のキャラクターグッズとなっていた1990年代に多く取り上げられています。その間にあたる時期は、雑誌生まれのスターである「マスコットキャラクター」(18.雑誌が生んだ人気者 (1)マスコットキャラクター 参照)や「まんが家」の先生方(19.雑誌が生んだ人気者 (2)憧れの先生・まんが家 参照)、「漫画作品と登場人物」(20.雑誌が生んだ人気者 (3)連載漫画のTVアニメ化 参照)が輝きを見せていたにもかかわらず、実はあまり目立って取り上げられていません。
 1980年前後は、サンリオなどの市販のキャラクターグッズが少女たちの間に爆発的に普及した時期でもあり、ふろくに年中行事を忠実に取り入れるよりも、雑誌生まれのスターたちを推しながら、文房具やインテリア小物などの実用品を紙でどれだけ再現できるかに重点を置くことで、少女たちのニーズに応えていたのです。
 1980年代の終わりごろから1990年代にかけては、発行部数が大きく伸びてひと月あたりのふろくの数も多くなったことで、実用品の中に年中行事を取り入れる余裕が出てきました。メインふろくも完成品だけではなく、紙のパーツを自分で型から抜いて組み立てる形式が増えていきます。メインふろくのパーツ以外に細々としたサブふろくも同じ型に組み込めたため、毎月のように季節感のあるふろくを付けることができたのです。

 そして、新世紀を迎えて「歳時記ふろく」が姿を消したのは、“ホンモノ”ふろく(23.新世紀のふろくの花園 (1)ホンモノがふろくに!? 参照)の登場で紙のふろくが少なくなったことや、発行部数の激減といった要因がありますが、なんといっても、読者である少女たちが漫画よりもファッションのほうに関心を持ってしまい(25.新世紀のふろくの花園 (3)オシャレが大好き! 参照)、『なかよし』『りぼん』『ちゃお』のライバルがお互いではなく、少女向けのファッション誌になってしまったことが大きいのではないでしょうか。
 少女たちの“好きなもの・欲しいもの”を60年間ずっと詰め込み続けてきた少女漫画誌ふろくが2010年代の今、少女たちに届けたいものは、ファッション誌のふろくに負けないオシャレでインパクトを与える雑貨であり、そこに伝統、風習といったものや、さらには雑誌生まれのスターでさえもあまり必要がなくなってしまいました。生活に密着した日本の四季・伝統・行事を少女たちに伝えるという、ふろくの大切な役割が失われてしまうことも、時代の自然な流れといえるのかもしれません。

 小学生なら誰もが通ってきた道だった『小学○年生』も、2017年からは1年生向けを残すのみとなってしまいました。多くのモノや情報に囲まれて育っている、現代の子どもたちの興味・嗜好は早い年代から細分化し、また同じ学年でも知識量の個人差が開いてきたと思われるため、学年ごとの総合情報誌は難しい時代になったのではないでしょうか。
 雑誌を読んだりふろくで遊ぶだけで、自分が今まで知らなかった世界を目にし、興味の幅を広げることができるような、かつての『なかよし』『りぼん』が持っていた、娯楽や生活情報だけではない様々な分野の雑学・教養・一般常識を少女たちに伝えるという役割が、少女漫画誌やそのふろくに今後また戻ってくるかどうかは、少女たちと少女漫画誌を取り巻く環境次第でしょう。

 みんなで楽しんだクリスマスが終わると、翌日の26日にはもう、街はクリスマスなどなかったかのように一瞬にして和の雰囲気に包まれ、お正月を迎える準備で人々がせわしなく動き回ります。この手のひらを返すような変わり身の早さもまた、日本の12月ならではの風景です。
 いろいろなことがあった1年の終わりと、新たな1年の始まりが、もうすぐそこまで来ています。どうぞみなさま、良いお年をお迎えくださいませ。

 さて、当『少女漫画 ふろくの花園』は冬の間、休園させていただきます。春の花咲くころに、またお会いしましょう。

2016年12月18日 (日)

ふろくの花園 54.少女とふろくの歳時記 クリスマスがやってくる☆

 12月を迎えると、早いもので今年もあとひと月です。いよいよ一大イベント「クリスマス」の季節がやってきました。街中が大きなクリスマスツリーやイルミネーションで彩られると、寒さ厳しい夜にもかかわらずウキウキした気分になって、つい遅くまで出歩きたくなってしまいます。

 12月25日の「クリスマス」とは、「キリスト(救世主)のミサ(礼拝の儀式)」という意味で、キリスト教を開いたイエス・キリストの誕生を祝う日として知られています。キリストの誕生といえば、ベツレヘム(現在のイスラエル)の馬小屋で3人の博士と羊飼い、動物に囲まれた場面が思い浮かびますが、実のところ、キリストの誕生日がいつなのかは、まだはっきりわかっていません。
 この日が「クリスマス」と決められたのは、4世紀の中ごろにニカイア(現在のトルコ)で行われたキリスト教の総会議でした。古いヨーロッパの暦で1年でもっとも昼が短い冬至に当たり、「日が再び長くなり、太陽の力がよみがえることを祝う日」であることが、世界に光をもたらす救世主・キリストの誕生日にふさわしいとされたようです。さらに、12月17日に古代ローマで行われていた、プレゼントを贈ったり交換したりする農業の神様のお祭りや、いろいろな祭日などがまざって「クリスマス」ができたと考えられています。その後19世紀の中ごろから、クリスマスツリーを飾り家族でごちそうを食べて祝うという形になっていきました。

 西洋で始まった「クリスマス」が日本に伝わったのは、16世紀ごろといわれています。布教のために来日した外国人宣教師が日本で初めてクリスマスのミサを行い、明治時代には来日していた外国人やキリスト教徒の日本人によってミサやパーティが行われます。大型商店やホテルもツリーを飾り、パーティを開きました。
 当時の新聞記事を要約してみると、1875(明治8)年の読売新聞に「築地の女学校で行われたクリスマスイベントに大勢の人が集まり、立派な飾りや音楽の演奏でにぎやかだった」や、1881(明治14)年の毎日新聞に「横浜本町通の天主堂は大繁盛で、“キリスト教信者以外の参堂はできません”という札が掲げられるほどだった」、1883(明治16)年の朝日新聞に「クリスマス休暇中の神戸居留地は、門にクリスマスの飾りがされていて、まるで日本のお正月のようだ」など、すでに日本の都市部でクリスマスの行事が行われていたことがわかります。
 その後大正時代に入って一部の家庭でも祝うようになり、第二次世界大戦後にはアメリカの影響を受けて日本中に広まります。昭和30年代になると、家庭でもクリスマスケーキを食べたり、プレゼントをもらったりする習慣が定着しました。現在ではハロウィン(50.少女とふろくの歳時記 私たちのハッピー・ハロウィン♪ 参照)同様、もともとの宗教的な意味とは関係のない「日本風クリスマス」として、私たちの生活にすっかりなじんだ年中行事となっています。
 現在の日本ではどちらかというと、前日の12月24日のほうがクリスマス色が強い感じがしますが、キリスト教では太陽が沈んだときを新しい一日の始まりとしていたため、クリスマス当日の始まりとなる12月24日の夜を「クリスマス・イブ」として、お祝いを始めたということからきているようです。

 1955(昭和30)年に創刊した『なかよし』と『りぼん』。ちょうどこの頃からクリスマスのいろいろな習慣が日本の子どもたちに浸透してきたこともあり、創刊当初から「クリスマス・カード(りぼん 1955年12月号)」「クリスマス・セット(なかよし、りぼん 1956年12月号)」「クリスマス・シール集(なかよし 1957年12月号)」などのクリスマスにちなんだふろくが少女たちに届けられています。その後も、12月号のふろくは「クリスマス」のためにあるといわんばかりの勢いで、少女漫画誌界において最大のシーズンイベントとなりました。

例をあげると、

『なかよし』1965年12月号ふろく

・クリスマスおかざりセット
・マリアさまのブローチ
・サンタのおさいふ
・ブック型クリスマスケース
・クリスマスカードと絵はがき
※ほか別冊まんが4点

『りぼん』1967年12月号ふろく

・赤いブーツのセンターピース
・クリスマスミニツリー
・クリスマスカラーのフォークケース
・エンゼルのコップしき
・サンタクロース紙ナプキン
・ギフト・カード
・歌の別冊 クリスマスソング集
・クリスマス★カード
※ほか別冊まんが1点

このように、別冊まんが以外のふろくが全てクリスマスという年もあったほどです。実際、この『少女とふろくの歳時記』を書くにあたり、所蔵しているふろくの中から年中行事のモノを探してみた際にも、クリスマス関連のふろくが他に比べて圧倒的な数量でした。

 さて前置きが長くなりましたが、今回は、そんな「クリスマス」ならではのアイテムを取り上げたふろくを紹介します。

 まずは、クリスマスのシンボルともいえるクリスマスツリーです。モミの木に華やかな飾りをつけるクリスマスツリーは、11世紀ごろのドイツ北西部がはじまりといわれています。冬でも常に新しい緑色の葉をつける常緑樹を使うことで、強い生命力や永遠の命を表しています。

 暗い所でツリーの星が光る「久太郎 ピカピカツリーカード(りぼん 1987年12月号)」や、
 アクセサリーがかけられる「ドリーミングクリスマスツリー(なかよし 1988年12月号)」「GALS! ジュエリー★ツリーBOX(りぼん 2000年12月号)」、
 小物やお菓子が入れられる「シンデレラツリートレイ(なかよし 1989年12月号)」、
 銀はがしで占いができる「青子ちゃん ごきげん銀はがしカレンダーツリー(りぼん 1995年12月号)」「くるみちゃん 銀はがしクリスマス占い(りぼん 1997年12月号)」、
 ツリーを開くと中からキャラクターが出てくる「東京ミュウミュウ クリスマスツリーカード(なかよし 2001年12月号)」など、
ただ飾るだけではなく、いろいろなアイデアがプラスされた組み立て式クリスマスツリーが登場しました。
 ツリーの下の穴から上の穴へ進んでてっぺんの星にたどりつく立体すごろく「姫ちゃん クリスマスツリーすごろく(りぼん 1991年12月号)」や、「りえちゃん クリスマス・ツリーゲーム(りぼん 1994年12月号)」といった、みんなでゲームを楽しめるクリスマスツリーも。
 「ぷくぷく天然かいらんばん 山田さんのぷっくりすますツリー(ちゃお 2000年12月号)」は、キャラクター型のバルーンに空気を入れて土台にセットすると、かわいいキャラクターのクリスマスツリーができあがります。

 クリスマスツリーには、古くはろうそくを飾っていましたが、現在では様々な飾りや電球などをつけるのが一般的です。
 ツリーのてっぺんに飾る「星」はキリストが生まれたときに空に輝いていたとされる「ベツレヘムの星」を表していたり、「ろうそく」は世の中を照らす明かりであるキリストを表していたり、「りんご」はアダムとイブの伝説に出てくるリンゴや聖書に出てくるエデンの園を表していたり、「ベル」は「教会」を表していたりと、その飾りにもそれぞれ意味があるそうです。

 これらの伝統的な飾りにプラスして、「ミモリちゃん ツリーかざりメッセージセット(りぼん 1996年12月号)」や「B-ウォンテッド オーナメントメッセージボックス(なかよし 1999年12月号)」、「みるくSHAKE! オーナメントボックス(なかよし 2001年12月号)」、「ふぉうちゅんドッグす わんわんクリスマスハウスBOX&マスコットオーナメント(なかよし 2002年12月号)」などの、メッセージカードやプレゼントBOXにもなる、ふろくのオーナメントでツリーをかわいく彩りましょう。

 「あさり&プニプニ おもしろツリーオーナメント(ちゃお 1993年12月号)」や「桃花ちゃん おねだりカード(りぼん 2001年12月号)」は、サンタさんへのお願いごとをウラにこっそり書くことができます。クリスマスツリーがもはや七夕(44.少女とふろくの歳時記 七夕☆星に願いを 参照)の笹飾りのようになってしまっていますが、少女たちの願いごとは季節を問いません。

 にぎやかな飾りつけをすると、モミの木に住んでいる小人が喜んで、幸せをもたらしてくれるという言い伝えもあるそうです。みんなの願いが届くといいですね。

 玄関などに飾るクリスマスリースも、すっかりおなじみになりました。
 モミの木やヒイラギなどを輪にして木の実や花などを付けるクリスマスリースは、キリストが十字架にかけられたときにかぶっていた冠にちなんでいたり、神の永遠の愛を示したり、その力による魔よけを表す古代信仰のなごりなど、様々な由来があります。

 「きんぎょ注意報! クリスマススターリース(なかよし 1992年12月号)」と「怪盗セイント・テール ふわふわクリスマスリース(なかよし 1996年12月号)」は、どちらも空気を入れてふくらませる画期的なクリスマスリース。両面テープで好きな場所にくっつけて飾れるので、お部屋のクリスマス気分がかわいく盛り上がりますよ。
 「のえる&まりあ メッセージリース(りぼん 1999年12月号)」は、クリスマスリースとメッセージボードがひとつになったリースです。お部屋のドアにかけると、クリスマスの雰囲気になるだけでなく、プライバシーもばっちりキープします。

 少女たちにとってのクリスマスのお楽しみといえば、なんといっても12月24日の夜、寝ている間にプレゼントを枕元の靴下に入れてくれるサンタクロースでしょう。
 サンタクロースは、4世紀初めに現在のトルコでキリスト教の司教だった、セント・ニコラウスがモデルといわれています。多くの貧しい人に救いの手をさしのべていたニコラウスは、結婚を控えた姉妹の家の煙突に金貨を投げ込んだところ、たまたま暖炉に干していた靴下に入りました。ここからサンタクロースのプレゼントをもらうために靴下をツリーにつるす風習が始まったそうです。また、クリスマスツリーに飾る「玉」には、ニコラウスが人々に配ったプレゼントや投げた金貨という意味もあるとのこと。
 サンタクロースは、赤い服と白いひげ、トナカイが引くソリに乗ってやってくるというイメージですが、19世紀ごろから絵本などにこの姿が描かれるようになり定着していきました。その特徴的な服装は、司祭の服が元になっているとされていますが、コカコーラのポスターに描かれた赤い服が広まったという説もあります。トナカイはヒゲの老人が白馬やシカに乗ってくるというヨーロッパの伝説、ソリは北欧神話の神様が冬に空を飛んでやってくるという伝説に、それぞれ由来しているそうです。

 クリスマスには、キャラクターがかわいいサンタクロースに扮して、少女たちにふろくのプレゼントを届けてくれています。
 「姫ちゃん サンタカード&サンタ袋(りぼん 1990年12月号)」は、袋の中にプレゼントを入れ、袋の端をサンタカードの手の部分に開いている穴に通すと、まるでキャラクターのサンタクロースがプレゼントを運んでいるかのよう。
 「わんころべえ おねがいサンタブーツ(なかよし 1991年12月号)」は靴下型のプレゼント用袋。サンタクロースへのおねがいカードもついているので、クリスマスプレゼントのおねだりはこれでバッチリです。
 「茶美ちゃん・ハッピークリスマスファイル(ちゃお 1993年12月号)」はトナカイのソリに乗ったサンタクロース姿のキャラクターがかわいいファイル。季節を問わずふろくになるファイルも、このイラストでクリスマス用の特別なグッズになります。お友だちからのクリスマスカードを入れちゃいましょう。
 「光希ちゃん のびのびサンタカード(りぼん 1994年12月号)」は3人のサンタクロース姿のキャラクターが次々と飛び出してくるクリスマスカードです。

 クリスマスのもうひとつのお楽しみは、ごちそうと一緒に食べるクリスマスケーキですね。
 1910(明治10)年に「不二家」が日本で初めてクリスマスケーキを発売し、洋菓子普及のきっかけを作りました。スポンジケーキに生クリームやバタークリームをぬり、イチゴとサンタクロース形などの菓子をのせたデコレーションケーキが、日本のクリスマスケーキのスタンダードになっています。砂糖菓子のサンタクロースやウエハースで作られた家、チョコレートのメッセージプレートを誰が食べるかじゃんけんやゲームで決めたことも楽しい思い出です。

 「電脳少女★Mink デコレーションケーキトップ(なかよし 1999年12月号)」はクリスマスケーキに飾れるマスコット。このデコレーションでケーキをドレスアップできちゃいますよ。

 世界では、ドイツの「シュトーレン」やイタリアの「パネトーネ」など、さまざまな伝統菓子がクリスマスの食卓を飾ります。
 日本でも人気で見た目にも楽しいお菓子が、木の切り株をかたどったケーキ、フランスの「ブッシュ・ド・ノエル」です。フランスではクリスマス・イブに大きな薪を焼いた習慣があり、その薪をまねて作ったそうです。

 「麻衣ちゃん ブッシュ・ド・ノエルボックス(りぼん 2001年12月号)」と「ハッピーアイスクリーム! ブッシュ・ド・ノエルBOX(なかよし 2003年12月号)」は、どちらもこの「ブッシュ・ド・ノエル」をデザインした小物入れ。まるで本物のクリスマスケーキみたいでデコレーションもいっぱいです。机の上に置いて文房具を入れても、パーティのテーブルに置いてお菓子を入れても、ウキウキワクワクなクリスマス気分を味わえちゃいます。

 クリスマスならではのアイテムを取り上げたふろくを見ることで、クリスマスをめぐる様々なコト・モノの由来を知ることもできました。
 おうちやお部屋をクリスマスのふろくで飾ったら、いよいよみんなでクリスマスを楽しみましょう♪

 ※行事・風習の由来については諸説あります

〈参考文献〉
『12か月の絵図鑑 季節を知る・遊ぶ・感じる』長谷川康男 監修 PHP研究所 2015年
『親子でたのしむ日本の行事』平凡社 2014年
『かこさとし こどもの行事 しぜんと生活 12月のまき』かこさとし 文・絵 小峰書店 2012年
『こども きせつのぎょうじ絵じてん 増補新装版』三省堂編修所 編 三省堂 2009年
『ポプラディア情報館 年中行事』新谷尚紀 監修 ポプラ社 2009年
『21世紀こども百科 もののはじまり館』小学館 2009年
『はじめて知る みんなの行事とくらし』学習研究社 2008年
『まるごとわかる「日本人」はじめて百科 2 食べ物・飲み物をつくった人』湯本豪一 監修 日本図書センター 2008年
『親子で学ぶ 季節行事とマナーの基本』クレア 編著 毎日コミュニケーションズ 2007年

2016年11月25日 (金)

ふろくの花園 53.少女とふろくの歳時記 ○○の秋(後)

 秋は外に出かけて自然と親しむだけでなく、過ごしやすい気候だからこそ、自分の趣味とじっくり向き合うのにももってこいの季節です。
 後編では、どちらかといえばインドア方面の「○○の秋」ふろくについて紹介していきましょう。

 夜が長くなる秋は、本を読む時間が多く取れるようになることから、読書に適した季節として「読書の秋」と言われることはもうすっかりおなじみで、「○○の秋」のトップにあげる人もたくさんいるのではないでしょうか。新聞各紙のデータベースで調べてみても、1918(大正7)年9月の読売新聞「讀書の秋 図書館通ひの人々」の記事ですでに使われています。

 この「秋は読書の季節」というイメージが広まったのは、中国、唐の文学者・思想家である韓愈の詩の一部分
 「灯火稍く親しむべく 簡編巻舒すべし〈とうかようやくしたしむべく かんべんけんじょすべし〉」
 (時は秋、夜が長くなり灯火に親しむ機会が多くなった。書物をひもといて読むのに適した季節だ)で、
 一般に「灯火親しむべし」というかたちで使われるフレーズが、1908(明治41)年に発表された夏目漱石の小説『三四郎』に登場したこともきっかけの一つだそうです。

 毎年秋に実施される「読書週間」も、人々に「読書の秋」を普及させるのに大きな役割を果たしています。
 もともと、関東大震災後の1924(大正13)年に日本図書館協会が始め1939(昭和14)年に途絶したものを起源としており、第二次世界大戦後の1947(昭和22)年11月17日に、「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という決意のもと、出版社・取次会社・書店と公共図書館、新聞・放送のマスコミ機関が協力し、第1回「読書週間」が開催されました。翌年からは文化の日をはさんだ2週間(10月27日~11月9日)と定められ、全国に広まっていきました。今では読書感想文のコンクールなど、さまざまなイベントが行われています。

 そんな「読書の秋」にちなんで、少女たちに楽しく本を読んでほしいという気持ちが込められた、読書グッズがたくさんふろくに登場しています。

 まずは、本の収納に便利なマガジンラックやブックスタンド、ブックエンドです。

 「一条ゆかりのカラフルマガジンラック(りぼん 1973年11月号)」は『りぼん』本誌がスッポリ入る大きさで、小物入れにも使えます。持ち手がついているので移動もラクチン。
 「スパンク ファンシーマガジンラック(なかよし 1981年11月号)」は、両サイド2ヵ所に収納できて『なかよし』本誌もコミックスも入る大きくて丈夫な作り。お部屋でずっと使えるゴーカなラックです。
 「アリスちゃん マガジンラック(ちゃお 1995年10月号)」は、『ちゃお』本誌が4冊も入る大きさで使いでタップリ。2つのスペースには段差がついていて本を取り出しやすくする心配りもされています。
 「わーい! アニマルコミックス・ラック(りぼん 1986年11月号)」は両サイドについた大きなキャラクターがかわいいブックスタンド。コミックスだけでなくビデオカセットラックにも使えるところに時代を感じるふろくです。
 「いつみちゃん どりいむブックエンド(なかよし 1984年11月号)」と「光希ちゃん バンドブックエンド(りぼん 1992年11月号)」は、どちらもペンやメモなどの小物を入れられるスペースがついているブックエンド。机の上に置いて教科書を立てるなど、とっても便利に使えます。
 「ミルモでポン! ラブラブぶっくすたんど(ちゃお 2005年10月号)」は、ちっちゃいけれどコミックスをしっかり並べてくれるブックエンドです。

 これらもランチボックス(52.少女とふろくの歳時記 ○○の秋(前)  参照)同様、紙で市販品を見事に再現している一例で、少しでも長く使ってもらえるよう色・形や機能などに様々な工夫がされています。いつかは底が抜けたり破れたりして壊れてしまうのはわかっているけれど、次号のお知らせに大きなラックやボックスの写真が載っていると発売日が待ち遠しくなってしまう、楽しみにしていたふろくの一つでした。

 お気に入りの本を大切に守ってくれる、ブックカバーも「読書の秋」には欠かせません。
 「テディ・ベア ラブリーブックカバー(ひとみ 1978年11月号)」と「くるみと七人のこびとたち メルヘンブックカバー(りぼん 1993年11月号)」は、どちらも丈夫なビニール製なので水や汚れも怖くありません。
 「実果子ちゃん アキンド・ブックカバー(りぼん 1996年10月号)」や「りぼんオールスター キラキラブックカバー(りぼん 1997年11月号)」、「みきなちゃん ブックカバー(ちゃお 1997年11月号)」、「愛里ちゃん クラフトブックカバー(りぼん 2002年10月号)」、「アゲハ100% シンデレラブックカバー(りぼん 2005年10月号)」はどれも紙製だけど、人気漫画のキャラクターのイラストがとってもステキ。コミックスにピッタリのサイズです。
 ふろくのブックカバーは、本誌が漫画雑誌ということでコミックスサイズが多いのですが、新学期などには教科書サイズの少し大きめのブックカバーもふろくになっています。1枚の紙を折って大きさを自由に調整できるものもありました。

 この本どこまで読んだっけ? を解決してくれる、しおりもたくさんありますよ。
 本にはさむしおりは、「りぼんしおり(りぼん 1955年11月号)」や「バレーしおり(なかよし 1957年11月号)」など、『なかよし』『りぼん』の創刊当初から登場している、少女向け紙製ふろくの超定番の一つですが、時代を経て、形や素材もバリエーションに富んできています。
 「キッシーズ ブックマーク(りぼん 1977年11月号)」や「リノちゃん おしゃれしおり(りぼん 1996年10月号)」は、細長い紙にキャラクターのイラストが描かれているオーソドックスなタイプ。
 「チャチャ りんごの香りしおり(りぼん 1992年11月号)」は、オーソドックスなタイプにプラスして、りんごの絵をこすると香りがする、ちょっとだけ「収穫の秋」気分も味わえるしおりです。
 「コンコンブックマーク(りぼん 1978年10月号)」や「チャーミング聖羅ブックマーク(りぼん 1987年10月号)」はクリップのように本にはさむタイプ。本の中にしおりが落ちることもなく、メモを止めるクリップとしても使えます。
 「なるみちゃん ブックマーク(りぼん 1990年10月号)」や「ユキちゃん とうめいしおり(りぼん 1998年10月号)」、「結婚しようよ 桐子の読書しおり(なかよし 2003年11月号)」はフィルム製で透けているのがオシャレです。紙にピッタリくっついて滑り落ちません。
 「カードキャプターさくら さくらちゃんブックマーカー(なかよし 1998年10月号)」は、キャラクターの形がかわいいピンク色の透明ビニール製しおり。エプロンの部分にページをはさめるクリップタイプです。
 「りりかちゃん ブランコしおり(りぼん 1995年11月号)」はピンク色のプラスチック製しおり。本の間にはさむとスイングします。
 「わんころべえ ゆらゆらしおり(なかよし 1996年11月号)」は、2つのキャラクターマスコットをリリアンでつなぎ、片方を本にはさみ、もう片方を本の外側にぶら下げるタイプのしおり。マスコットがゆらゆらゆれて、かわいいだけでなくオシャレ度もアップ!

 本の世界にもっと入り込める、ブック型のグッズも登場しています。
 「姫ちゃん ブック型レターセット(りぼん 1992年11月号)」は、びんせん+ふうとう+帯シールがセットになった、本物の絵本みたいなレターセット。表紙をあけると中はびんせんで、表紙にかぶせる帯がシールになっています。
 「奈緒ちゃん ブック・レターセット(りぼん 1998年10月号)」は、ブック型ケース+びんせん+ふうとう+シール+P.S.カードがセットになった、「読書の秋」にピッタリのレターセット。ケースごと本棚にしまってもOKです。
 「12歳。 魔法のスウィーツBOOK型ポーチ(ちゃお 2015年11月号)」は、サテン風の生地と背表紙部分の金色文字がオシャレなブック型ポーチ。コミックスも入るサイズで、ついついバッグから出して見せたくなっちゃうキュートなデザインになっています。

 そして、「○○の秋」の最後を飾るのは「芸術の秋」です。

 日展や二科展をはじめとする、絵画・彫刻・工芸などの芸術作品の展覧会が多く秋に開催されることなどから、秋が芸術を楽しむのに適しているのをいう言葉で、新聞各紙のデータベースを調べると、1928(昭和3)年9月の朝日新聞に「藝術の秋に」という記者のコラム記事があり、昭和の初めにはすでに使われていた表現だったことがわかります。もっともこの頃にはすでに、日展(当時は帝展)も二科展も開催されていて、人々が芸術作品に親しむようになってきていました。また、1951(昭和26)年8月の読売新聞「二科展の搬入始まる」の中には、「“芸術の秋ひらく” シーズンのトップを切って二科展の搬入が」という一文も見られます。美術館がいくつもあり、秋にいろいろな展覧会が開催される東京・上野のことを「上野の秋」「芸術の上野」とも称していました。

 さて、少女たちが身近で楽しめる芸術といえば、“お絵かき”でしょう。「芸術の秋」には、いろいろなお絵かきグッズのふろくが少女たちに届けられました。

 「るんるんスケッチブック(なかよし 1983年10月号)」は、ハンディーなバッグ形で持ち運びにも便利なスケッチブック。いつものふろくのノートよりも厚手で画用紙のような紙が使われていて、お店で売っているスケッチブックと同じくらいしっかりとした作りです。ワンポイントでプリントされたイラストもかわいくて、使うのがもったいなくなっちゃいます。

 少女たちの遊びの代表的なもので、今では大人の間でも人気の「ぬり絵」もふろくになっています。憧れの先生方が描いた下絵を、自分が色をぬって仕上げることに胸がワクワクすると同時に、うまくぬれなかったらどうしようとちょっぴり緊張もしたふろくです。

 「ペイントペイントポスター(りぼん 1976年11月号)」は、色をぬり終わるとポスターカレンダーとして使えます。
 「ステンドグラスぬりえ(りぼん 1978年11月号)」は、グラシン紙のような紙に印刷されたイラストにサインペンで色をぬるアイデアぬり絵。できあがったものを窓にはるとまるでステンドグラスのような透け感がでて、とってもキレイ。
 「なかよしオリジナルぬり絵カード(なかよし 1980年10月号)」は、3人の先生方がイラストを描いたB5サイズのぬり絵。お手本のカラーイラストもついていたのですが、ぬり絵そっちのけでそれをカードケースに入れ、下じきとして使って楽しんでいました。
 「NAKAYOSIカラーリングポストカード(なかよし 1981年10月号)」は、色をぬった後はお友だちに送れる「ぬり絵ハガキ」です。色のセンスを発揮しちゃおう。
 「くるみと七人のこびとたち カラフルパレット&手づくりアートカード(なかよし 1994年10月号)」と「クレヨン王国 カラフルパレット&メルヘン絵はがき(なかよし 1997年10月号)」は、紙のパレットに絵の具が4色分ついていて、水をつけた筆で絵の具の部分をさわるとちゃんと色がでる画期的なふろく。セットのカードに色をぬって、オリジナルのカードが作れます。

 新世紀を迎え、ついに色エンピツやクレヨンまでもがセットになった“ホンモノ”お絵かきふろくが登場しました。
 「チョコミミ ドリーミー★おえかきセット(りぼん 2007年10月号)」は、プラスチック製でかわいくて丈夫なケースの中に、水彩色エンピツ6色+筆1本+クレヨン6色と、カラフルなお絵かき道具がたっぷり入っている豪華なセットです。水彩色エンピツでぬって水を含んだ筆でなぞると、なんと絵の具に変身! 一緒についている「りぼん★メルヘンぬりえ絵本」に色をつけたり、「りぼんちゃん×ハローキティ おえかきノート」に好きな絵を描いたりして、お絵かき上手になっちゃいましょう。 

 少女漫画のイラストは細かいものが多いため、少女たちがキレイにぬり分けるのは結構大変だったのではないかと思います。特に1970年代の『りぼん』のものは、もはや“大人のぬり絵”レベルの緻密さでしょう。私の場合は一つしかないものを失敗して台無しにしてしまうのがイヤだったので、あまり積極的にぬり絵のふろくは使わなかったのですが、そんなことなど気にせず、思うままに色エンピツを動かして色をぬること自体を楽しんでいた少女たちのほうが、心から「芸術の秋」を満喫していたのかもしれません。

 ハロウィンとクリスマスにはさまれて派手なイベントが少ない11月は、どことなく存在感が薄い月という印象があります。だからこそ、じっくりと落ち着いて秋の雰囲気を味わうことができるのです。
 11月に早くも東京で初雪が降るなど、1年でいちばん快適に過ごせる秋は年々短くなってきているような感じがしますが、この貴重な時期にたくさんの「○○の秋」を楽しみたいものですね。

 ※行事・風習の由来については諸説あります

〈参考文献〉
『12か月の絵図鑑 季節を知る・遊ぶ・感じる』長谷川康男 監修 PHP研究所 2015年
『三省堂中国名言名句辞典』大島晃 編 三省堂 2011年
『年中行事大辞典』加藤友康、高埜利彦、長沢利明、山田邦明 編 吉川弘文館 2009年
「公益社団法人 読書推進運動協議会」webサイト
「公益社団法人 日展」webサイト
「公益社団法人 二科会」webサイト

2016年11月20日 (日)

ふろくの花園 52.少女とふろくの歳時記 ○○の秋(前)

 にぎやかだったハロウィンも終わり、11月に入ってようやく本格的な秋の到来となりました。

 “秋”を表す言葉として、「スポーツの秋」(50.少女とふろくの歳時記 スポーツの秋☆運動会 参照)や「行楽の秋」、「食欲の秋」、「読書の秋」、「芸術の秋」などいろいろなものが挙げられ、なぜ秋にだけこんなに「○○の」があるんだろうとつい思ってしまいます。気温も湿度も下がりさわやかな気候になって、何をするにも快適な時期だからというのはもちろんのこと、私にとっての秋は、暑くてジメジメしてしかも近年は期間も長い、厳しくツラい夏の日々を乗り越えたことへのご褒美でもあり、たくさんのことを楽しもうという気分にさせてくれる、1年で一番大好きな季節です。

 今回は、いろいろな「○○の秋」を満喫するために少女たちへ届けられたふろくを紹介しましょう。

 秋になると、日本の各地で山野の木々が赤や黄に美しく色づきます。その光景をニュースなどで目にすると、この季節ならではの自然のイベント「紅葉狩り」を楽しむために出かけたくなりますね。あざやかな色に染まったカエデやイチョウを眺めたり、どんぐりやトチの実を探したりと、「山野などに行って遊び楽しむこと(デジタル大辞泉)」という「行楽」にうってつけの時期、すなわち「行楽の秋」なのです。
 「行楽の秋」という言葉がいつごろから使われているのかを新聞各紙のデータベースで調べてみたところ、1925(大正23)年11月の朝日新聞に「行楽の秋深く」という東武線の広告を見つけました。すでに戦前から使われていたことに驚きましたが、もっとも秋の行楽の代表ともいえる「紅葉狩り」も、奈良・平安時代の貴族たちが始めて江戸時代に町民たちに広まった歴史ある秋の遊びであり、古くから秋はお花見の春と並ぶ行楽シーズンとして認知されていたようです。

 また、秋は穀物や果物などの収穫が多くなる季節でもあり、「収穫の秋」や「実りの秋」ともいわれます。

 「行楽の秋」や「収穫の秋」、「実りの秋」の雰囲気を味わえるグッズや占い、ゲームのふろくが登場しました。

 「陸奥A子のデイトバッグ(りぼん 1977年10月号)」は、六角形のボックスに持ち手をつけたユニークなスタイルのバッグで、当時の少女たちに流行していたトランクタイプ。秋らしいオレンジ色を基調にしたデザインと丈夫なつくりは、紙製だけど市販のものにも負けないくらい。おでかけにだって持って行きたくなっちゃうくらいオシャレなふろくです。

 「虹子ちゃん ピクニックレターセット(ちゃお 1994年11月号)」は、ピクニックシーンのイラストが超かわいいレターセット。なんと105cmのロングサイズで使う長さによって切りはなせるびんせんや、メッセージを書いて折りたたむとリュック型になるP.S.カードなど工夫もいっぱいです。

 「マリアっぽいの! カラーデュエット占い(なかよし 2000年11月号)」は、イチョウやもみじなどの葉っぱと栗の実の中から2つを選び、こすって出た色の組み合わせで今日のラブ運が占えます。

 「ワイルドだもん ワイルド秋の味覚占い(なかよし 2003年10月号)」は、よいしょ! よいしょ! とおイモのつるを引っ張るキャラクターの中から好きなものを選び、その地面の下をエンピツでこすります。出てきたおイモの種類と大きさ、個数で今日の運勢をチェック。イモほり気分で楽しめちゃう占いです。

 「オールスター 列車でGO! 秋のおでかけ占い(なかよし 2004年10月号)」は、遊園地・温泉・ハイキング・水族館・ショッピングの中から今日行きたい場所を1つ選び、好きな色の車両に書き、車両の銀をはがします。でてきたキャラクターと行きたい場所との組み合わせで今日の運勢が占えます。

 「わんころべえ キノコがりゲーム(なかよし 1998年11月号)」は、秋の味覚のキノコがりをして点数を競うゲームを2種類楽しめます。
 まず1つは、ゲーム盤のマスの上にキノコカードを置き、スタート地点からサイコロで出た目の数だけコマをタテ・ヨコに進めて、カードのあるマスに止まったらキノコをGET! ゲーム盤上のキノコカードがなくなったらゲーム終了で、取ったカードの裏に書かれた点数の合計がいちばん多い人が勝ち。ただし、キノコカードに紛れ込んでいる「毒キノコカード」を取ってしまったら、その分点数がマイナスされてしまいます。単純にキノコをたくさん取ったほうが勝ちではなく、運も重要なゲームです。
 もう1つはすごろく形式で、簡単にゴールできるけどキノコはあまり取れないハイキングコースか、ゴールするのは大変だけどキノコをたくさん取れるチャンスがあるロッククライミングコースのどちらかを選んでスタート。途中止まったマスに「キノコカードを場からとる」の指示があればキノコをGET! 誰かがゴールしたらゲーム終了。取ったキノコカードの裏の点数を合計し、いちばん多い人が勝ち! としたいところですが、ゴールした人にはさらに50点加算されるため、早くゴールした人とキノコをたくさん取った人、どちらが真の勝者なのかは終わってみないとわからない、ドキドキ感いっぱいのゲームなのです。

 「電脳少女★Mink どんぐりバトルゲーム(なかよし 2000年11月号)」は、山の形をした立体的なゲーム盤を使って、どんぐりひろい競争がお部屋の中でできちゃうゲームです。自分の進むコースを決めて山の頂上にどんぐりチップを置きます。サイコロで出た目の数だけチップを進め、山の下に着けたらそれをGET! 次からは頂上にある新しいチップを進めていき、頂上のどんぐりチップがなくなったらゲーム終了。GETしたチップの裏に書かれた点数の合計で順位が決まります。コースの途中には竹やぶや池などの落とし穴があり、そこにチップが入ってしまったらGETできません。また山の動物たちや風がとなりのコースにどんぐりチップを運んで他の人にGETさせてしまうことも。野山や公園では簡単にできるどんぐりひろいも、このゲームではなかなか一筋縄ではいかないようです。

 「○○の秋」で忘れてはいけないのは、なんといっても「食欲の秋」でしょう。夏の暑さで落ちた体力も回復し、最も食欲の増進する季節であり、さらに「収穫の秋」で海の幸山の幸ともに豊富です。昔の人は、その豊かな恵みを神様に感謝しながら秋の味を楽しみました。
 「食欲の秋」についても、いつごろから使われている言葉なのかを新聞各紙のデータベースで調べてみましたが、1934(昭和9年)9月の朝日新聞に「食慾の秋はまづ魚河岸に現れる」という記事があり、こちらも戦前にはすでに使われていた表現のようです。

 さて、「行楽の秋」にはハイキングやピクニックに出かける機会も多くなりますが、日頃気軽に使っている「ハイキング」と「ピクニック」の違い、みなさんはご存知でしたか?
 辞書でそれぞれの言葉を調べてみると、ハイキングは「自然と楽しみながら野山などを歩くこと(デジタル大辞泉)」で、ピクニックは「野山に出かけて遊んだり食事をしたりすること。野遊び、遠足(デジタル大辞泉)」となっています。どちらも野山に出かけることに変わりはないのですが、ハイキングは野山の散策が目的で、ピクニックは野山で遊びや食事をすることが目的のようで、どうやらピクニックは「行楽の秋」だけでなく「食欲の秋」も兼ね備えたレジャーともいえそうです。

 そんなピクニックに欠かせないのがお昼のお弁当なのですが、この季節にはランチボックスやピクニックセットといった、少女たちにとって秋の遠足にもお役立ちとなるふろくが多数登場しています。

 「ピクニックセット(りぼん 1976年11月号)」は、紙皿+紙ナプキン+コースター+紙コップ+おてふき+ストローのいろいろ入って便利なペアセット。先生方のイラストがステキすぎ&袋にセットされた様子がカンペキすぎて、使うのがもったいなくなりそう。

 2箱のランチボックス&ボックスケース+ビニール製ランチバッグがセットになった「姫ちゃん ランチタイムセット(りぼん 1990年11月号)」や、
 大小2つのランチボックス+ビニール製のランチバッグ&ランチマットがセットになった「友香ちゃん ハッピーランチセット(りぼん 1993年11月号)」、
 おにぎりが3コ入るゆったりサイズのケースとチビおつけものケース、一目でおにぎりの中身がわかるシール、お弁当やおにぎりなどがたくさんのせられるゆったりサイズのランチマットがセットになった「茶美ちゃん おでかけ・おにぎりケース&おにぎりめじるしシール&おでかけランチマット(ちゃお 1994年10月号)」、
 おにぎりボックス+サンドイッチボックス+ビニール製ランチバッグがセットになった「せあらちゃん わくわくランチセット(りぼん 1996年10月号)」など、複数のランチボックスとランチバッグ、ランチマットなどがセットになったものも。

 「いち・に・のさんだんランチBOX&おしゃれナプキン(なかよし 1987年11月号)」は、3つのランチBOXとナプキンケースをまとめてセットできちゃうよくばりなセットです。

 「なるみちゃん ランチボックス(りぼん 1989年10月号)」や、「菜緒ちゃん ランチボックス(りぼん 1999年10月号)」、「蘭ちゃん おでかけランチボックス(りぼん 2000年10月号)」は、中にトレイがついている2段構造。フルーツやナプキン、ウェットティッシュも入れられます。

 サンドイッチボックスとおてふき、紙ナプキンがセットになった「スパンク ウキウキピクニックセット(なかよし 1979年10月号)」や、「チャーミングサンドイッチトレー&ペアペアナプキン(なかよし 1981年10月号)」などの、サンドイッチ用のランチセットも登場しました。子どものころ、お弁当にサンドイッチを持ってくる子はどことなくオシャレな感じがしたものです。

 「一条ゆかりのピクニックバッグ(りぼん 1976年11月号)」や「ラブリー・ランチボックス(なかよし 1980年10月号)」、「きんぎょ注意報! ピクニックボックス(なかよし 1992年11月号)」、「紗南ちゃん ランチボックス(りぼん 1995年10月号)」、「夢のクレヨン王国 おでかけランチボックス(なかよし 1998年10月号)」などの持ち手がついたシンプルなランチボックスも、もちろんありました。箱の上部に丸みをつけたり、ひもを使って箱を閉じたり、真ん中からパカッと開くようにしたりといった工夫が凝らされています。

 これらのランチボックスは紙製ながら、どれも多彩なデザインと機能で市販品を見事に再現していて、紙の可能性を感じさせるものばかりです。ただ食べ物を入れるため、汚れたり濡れたりしてもう使えなくなってしまうかもという不安もありました。ラップやアルミホイルを敷いてガードしたり、食べ物は入れずに小物入れにしたりするなど、少女たちは様々なアイデアでふろくのランチボックスを使っていたようです。

 しかし、そんな心配などご無用の“ホンモノ”ランチボックスがついに登場します。
 「マーメイドメロディーぴちぴちピッチ ラブリーランチBOX(なかよし 2004年11月号)」は、フタも本体もプラスチック製なので汚れても水で洗えます。食べ終わったあとは本体を折り畳んでフタにしまえるから持ち歩きもラクチンの超使えるふろくです。

 「行楽の秋」、「収穫の秋」、「実りの秋」、「食欲の秋」は、自然と触れ合い、自然のモノを味わうアウトドア的な「○○の秋」ともいえるでしょう。
 さわやかな秋晴れの日は、ふろくと一緒にお出かけしても楽しそうですね。

 ※行事・風習の由来については諸説あります

〈参考文献〉
『12か月の絵図鑑 季節を知る・遊ぶ・感じる』長谷川康男 監修 PHP研究所 2015年
『ポプラディア情報館 年中行事』新谷尚紀 監修 ポプラ社 2009年
『はじめて知る みんなの行事とくらし』学習研究社 2008年

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