ふろくの花園 47.少女とふろくの歳時記 夏を涼しく過ごそう
もうすぐ8月も終わりになりますが、まだまだ暑い日は続きそうですね。
さて、毎年7月と8月は、「浮輪のキーブローチ(りぼん 1968年9月号)」の浮き輪や、「サマーギフトBOX(なかよし 1988年8月号)」、「未央ちゃん
スイカ貯金箱(りぼん 1991年7月号)」、「ワイルドだもん
ワイルドスイカBOX(なかよし 2003年7月号)」のスイカ、「だぁ!だぁ!だぁ!
蚊取りワンニャーカードラック(なかよし 2001年7月号)」、「どこでもハムスター
ぐるぐるメモなのねー!(なかよし 2001年7月号)」の蚊取り線香、「ひえひえアイスクリームメモ(ちゃお 2001年7月号)」、「ほっぺにチューボー!
冷え冷えアイスメモ(なかよし 2002年7月号)」のアイスクリームなど、夏の風物詩、夏ならではのモノがデザインされたふろくの数々が夏気分を盛り上げて、少女たちの目を楽しませてくれます。
それとともに夏の定番として登場しているのが、クールな気分を味わえて暑い日を涼しく過ごせるふろくです。
まずは冷たい飲み物や食べ物をより楽しむためのアイテムを紹介します。
グラスに氷とジュースを入れるだけでも充分おいしいけれど、ふろくを使ってもっと見た目も涼しく楽しんじゃいましょう。
ジュースを飲むためのストローは、「変身ストロー(なかよし 1988年8月号)」や「ぎょぴちゃんストロー(なかよし 1990年7月号)」など、1980年代の終わりごろから夏におなじみのふろくとなりました。
「菜緒ちゃん ピンキーストロー(りぼん 1999年7月号)」や「だぁ!だぁ!だぁ!
ふしぎストロー(なかよし 2001年7月号)」、「ビビってむ~ちょ
ビビの王女様ストロー(なかよし 2002年7月号)」、「アイがなくちゃね!
宇宙デパート限定販売ストロー(なかよし 2003年7月号)」といったストローは、袋だけでなくカラフルな本体にも細かなイラストが印刷されていて、グラスに入れると華やかさがアップします。お店のストローだと袋を開けたあと、クシャクシャっとしてテーブルに置いてしまうことが多いけど、こちらは開けても袋を捨ててしまうのがもったいないくらいのかわいさで、使い終わったらまた袋にしまって何度でも使いたくなってしまいます。
グラスの下に敷くコースターも、ジグソーパズルもできる「知夏
ジグソーパズルコースター(なかよし 1989年7月号)」や、冷たいグラスをのせると色が変わる「みずき
クールサマーコースター(なかよし 1990年7月号)」、「花ちゃん
ひえひえコースター(りぼん 1989年7月号)」など、遊び心が詰まっています。
グラスに貼って楽しめる、中のジュースの色がシールの窓から見える「翠ちゃん
グラスシール(りぼん 1992年7月号)」や、冷やすと絵柄が変わる「Go→Go→ひえ2シール(ちゃお 2000年8月号)」、「みい子のひえ~るシール(ちゃお 2001年8月号)」などの仕掛け付きシールも暑さが続くこの時期ならではのふろくです。
暑い日に食べたくなる、あのおやつをつくれるふろくも登場しています。
「セーラームーン ルナ型ミニアイスセット(なかよし 1993年8月号)」や「アキハバラ電脳組パタPi!
ひえひえアイスキャンディーセット(なかよし 1998年8月号)」、「ムーぽん
ひえひえアイスキャンディーセット(なかよし 1999年8月号)」は、かわいいアイスキャンディーが簡単につくれちゃうキットです。人気漫画のキャラクターの形をした型にジュースを注いで冷凍庫に入れると、色とりどりのアイスキャンディーのできあがり。スティックもついているから食べやすくて本格的だけど、食べ過ぎには要注意ですよ。
そして、暑い日に欠かせない持ち物といえば、涼しい風を送ってくれる「うちわ」と「扇子」です。
うちわは奈良時代に中国から伝えられ、平安時代に折りたためる形の扇子が日本で考え出されました。貴族の間では、日よけや顔を隠すことにも使われていて、現在のようにあおいで風を起こす道具になったのは江戸時代からといわれています。竹細工と紙の技術が発達したことで庶民の間にもうちわや扇子が普及していき、江戸では女性の間でうちわを持つことが流行します。役者の似顔絵を描いたものや絹でつくったものなどさまざまなうちわが現れて、お盆やお中元に贈答が行われていたそうです。
『なかよし』『りぼん』のふろくにも、「お花のせんす(りぼん 1961年8月号)」や「くじゃくのうちわ(りぼん 1963年8月号)」「モダン扇子(なかよし 1965年7月号)」など昭和30年代後半から、夏の夕涼みにピッタリのうちわや扇子が登場しました。
「陸奥A子のファンシー・ファン(りぼん 1981年8月号)」や「わんころべえ
まんまるうちわ(なかよし 1993年7月号)」は、まん丸の形で持ち手に穴が空いています。
「わんころべえ 夏まつり納涼うちわ(なかよし 1988年7月号)」や、あおぐ部分が透明フィルムで涼しげな「メロディ
パタパタふぁん(りぼん 1988年7月号)」は持ち手がついているタイプです。
「くいしんぼまるちゃんうちわ(りぼん 1989年7月号)」や「玉三郎
パタパタうちわ(りぼん 2004年8月号)」は、人気漫画のキャラクターの形で涼しさだけでなくかわいさも満点。
「姫ちゃん シーサイドせんす(りぼん 1993年7月号)」や「風子ちゃん
コンパクトせんす(りぼん 2002年7月号)」は紙製の扇子。折りたたみができて持ち運びにも便利です。
「菜緒ちゃん さわやかせんす(りぼん 2001年7月号)」はレモンの香りつき扇子。あおぐたびにさわやかな風が吹いてきます。
「かみちゃまかりんchu トロピカル☆折りたたみウチワ(なかよし 2007年7月号)」や「甘~い折りたたみウチワ(なかよし 2011年8月号)」は、お店で売っているものと同じくらいしっかりとしたつくり。折りたたんでいるときは長さ約13cmでバッグに入れて持ち歩けるコンパクトサイズだけど、プラスチック製の持ち手をぐるっと開いて止め具で固定すると、大きなうちわに変身! 使いやすくておでかけ先でも涼めちゃう、新世紀の“ホンモノ”ふろく(23.新世紀のふろくの花園 (1)ホンモノがふろくに!? 参照)の扇子型うちわです。
夏を涼しく過ごすための“ホンモノ”ふろくの真骨頂は、なんといっても電気で動く「扇風機」でしょう。
江戸時代には、うちわを放射状に取り付け、ろくろを使って手回しで風を作り出す「手回し扇風機」が使われていましたが、その後明治30年に、スイッチ一つで風を起こせる日本初の電気扇風機が発売されました。
この技術の進歩同様、ふろくが起こす涼しい風も手動→電動に進化したのです。
最初に登場したのは「きらりん☆レボリューション
すずし~い☆なーぷうき(ちゃお 2007年7月号)」でした。長さ約11cmの手で持って使うタイプで、ネックストラップもついて持ち歩きにも便利。やわらかい羽根で安全にも配慮されています。
その後も、せんぷうきとボールペンが合体した「ちび☆デビ!
すずしくてクマっちゃう! ペンぷうき(ちゃお 2008年8月号)」や、スタンド付きで机にも置ける「ぐぐっと極上!!めちゃモテ委員長
チョコっとミントな!アイスキャンディーせんぷうき(ちゃお 2009年8月号)」、ソフトクリーム型でバッグにもつけられるボールチェーンつき「スターダスト★ウィンク
スウィート★せんぷうき(りぼん 2009年7月号)」、扇風機の羽根と消しゴムが付けかえられて、電動消しゴムとしても使える「ぐぐっと極上!!めちゃモテ委員長
ファン★ケシ(ちゃお 2010年7月号)」のように機能が少しずつプラスされ、より便利で使いやすいものが届けられました。
電池は自分で用意しなくてはいけないけれど、きっと少女たちの夏のお供になったことでしょう。
日本では昔から暑い夏に涼しさを求めるため、うちわや扇子のほか、すだれやよしず、金魚、風鈴、打ち水など様々な工夫をしてきました。
夏のふろくにも同じように、少女たちに夏休みを楽しんでほしいという気持ちだけでなく、より快適に暑い毎日を過ごせるようにという工夫と心配りがされています。
そんなかわいいふろくと一緒に、夏の暑さを乗り切りましょう。
※行事・風習の由来については諸説あります
〈参考文献〉
『総合百科事典 ポプラディア』ポプラ社 2011年
『ポプラディア情報館 年中行事』新谷尚紀 監修 ポプラ社 2009年
『まるごとわかる「モノ」のはじまり百科 (2)
くらし・生活用品』山口昌男 監修 日本図書センター 2008年
『カラー版 日本装身具史』露木宏 編著 美術出版社 2008年
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