ふろくの花園 43.少女とふろくの歳時記 ホタル狩り
先日、近所のふるさと資料館で行われたホタル観賞会に参加してきました。その資料館では自然環境により近い状態でホタルを育てているそうです。ケージ越しでしたが、生まれて初めての生ホタルの光。子どものようにワクワクした気持ちになり、暗闇の中で黄緑色の光が淡くついたり消えたりする様子はとても幻想的なものでした。
ホタルといえば、おそらく何かの漫画で読んだと思われる「夏休みに田舎のおばあちゃんちに遊びに行ったとき、近所に住んでる男の子と仲良くなって、夜に2人でホタルの大群をこっそり見に行く」のような、“真夏に見るもの”というイメージをずっと持っていたため、梅雨時の6月にホタルを見られることがとても意外でビックリしました。
ホタルの光はむかしから日本人の心をとらえてきたようで、いまから千年以上も前にまとめられた『日本書紀』や『万葉集』にはすでに、ホタルという言葉がでてきていますし、『源氏物語』や『枕草子』といった古典文学の名作にもとりあげられています。また、浮世絵や和歌、俳句、わらべうたなどの題材にも多く使われており、夕涼みをしながらホタルを見て楽しむ「ホタル狩り」が季節の風物詩として人々に親しまれ、生活にとけこんでいたことがわかりますね。
そこで、「ホタル狩り」気分が味わえて、占いもできるふろくの登場です。
「めだかの学校 光る!蛍占い(りぼん 2000年7月号)」は、箱型スコープと葉っぱカード5枚のセット。
葉っぱカードに光をあてて、裏返しにしてよくかきまぜてから1枚選びます。そのカードをスコープに入れて穴からのぞくと、なんとホタルが光ってる! 光ったホタルの数で今日の運勢がわかる、不思議でキレイな占いです。
葉っぱカードのデザインは5枚とも同じなのですが、ホタルのイラスト部分に蓄光塗料のようなものがついているため、よく見るとどのカードが何個ホタルが光るのかわかってしまいます。そこで裏返しにしてよくまぜてから選ばせる、というなかなかよくできた手順です。でもこのふろくは占いの結果よりも、とにかくカードが光っているのを見ることが楽しくて、いい大人の自分がやったのと同じように、カードをとっかえひっかえして穴からのぞいた少女たちも多かったのではないでしょうか。
ホタルはオスとメスが出会って交尾を行うために、お互いに光の信号を送り合っているのだそう。卵からさなぎの間は1~2年も水中や土の中で暮らし、成虫になってからはわずか2週間たらずの命で、それまでに産卵し次の世代に命を引き継ぎます。このはかなくロマンチックなホタルの一生と神秘的な占いが結びついた、少女たちの心を引きつけるふろくですね。
※行事・風習の由来については諸説あります
〈参考文献〉
『12か月の絵図鑑 季節を知る・遊ぶ・感じる』長谷川康男
監修 PHP研究所 2015年
『かこさとし こどもの行事 しぜんと生活 6月のまき』かこさとし
文・絵 小峰書店 2012年
『ホタル 光のひみつ 科学のアルバム』栗林 慧
著 あかね書房 2005年
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