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2016年4月 2日 (土)

ふろくの花園 35.少女とふろくの歳時記 お花見

 東京の桜も満開となり、お花見シーズン真っ盛り!
 桜の木の下で飲んだり食べたりしながら花の美しさを楽しむ「お花見」は、春に欠かせない行事の一つです。

 今でこそ「お花見」といえば桜ですが、奈良時代までは梅の花を眺めることでした。
 桜の花を眺める「お花見」の習慣は、平安時代に始まったとされています。
 貴族の間で桜の木を植えるのが流行り、春にふさわしい花として「お花見」の花が梅から桜に変わっていきました。満開の桜を味わい、その美しさを歌に詠んだり音楽を演奏したりして楽しむ宴が貴族の遊びとして盛んになったそうです。
 また、武士にとっても、花が一斉に咲き一斉に散る様子が潔いとして好まれました。
 貴族の行事だった「お花見」が、町の人たちの間でも行われるようになったのは、江戸時代の中ごろのことです。
 将軍・徳川吉宗が各地に桜の木を植えて、桜の名所を作りました。町の人たちもその名所に出かけて、桜を鑑賞する風習が広まります。桜の下で小唄や俳句を楽しむなどにぎやかだったようで、現在のように桜を見ながらお酒を飲んだり、お弁当を食べたり、歌ったりして大騒ぎする習慣はこのころから始まりました。

 古くは桜といえばヤマザクラでした。しかし、「お花見」が盛んになった江戸時代の終わりごろに江戸の染井村(現在の豊島区駒込)で観賞用につくられたソメイヨシノが、花の美しさだけでなく、育ちが早く病気に強いことで全国に植えられるようになり、今や日本で最も知られている桜となっています。
 JR山手線駒込駅の電車発車時の音楽が『さくらさくら』なのは、このような由来があるからなのですね。

 さて、「お花見」をいかに楽しめるかは、場所取りにかかっているといっても過言ではありません。新入生や新入社員の“初めての仕事”と呼ばれることもある場所取りは、そのトラブルの様子がしばしばニュースで取り上げられるほど、毎年熾烈な戦いが繰り広げられています。
 この「お花見」の場所取りをテーマにしたゲームがふろくに登場しました。

 「わんころべえ お花見陣取りゲーム(なかよし 1995年4月号)」は、「お花見にぴったりの満開のさくらがさきました。はやく桜の木まで行って、お花見のための陣取りをしましょう!!」というゲームです。

 4人で遊ぶゲームで、好きなキャラクターを選び、自分のコマ4つを持ってスタート。サイコロをふってコマを進め、いちばん最初に4コマすべてをゲーム盤中央にある桜の木のマスに入れることができた人が勝ち! ただし、他の人のコマと同じマスに止まってしまったら2マス戻らないといけない決まりもあります。
 最初に桜の木のマスまでたどりついた人が陣取りの“主〈ぬし〉”となり、後から来た人は“主”とじゃんけんをして勝たないと1個目のコマを桜の木のマスに入れられません。1個目のコマを桜の木のマスに入れることができたら、残りのコマは“主”とじゃんけんをしなくても、どんどん入ることができます。
 とにかく“主”になってじゃんけんに勝ちまくり、他の人のコマが桜の木のマスに入るのをじゃまするか、“主”にならなくても4つ全てのコマをじわじわと進めていき、他の人が桜の木のマスに近づくのをじゃましつつ、一度じゃんけんに勝って残りを一気に桜の木のマスに入れていくかなど、勝つための戦略をいろいろと考えてみるのも楽しみの一つでしょう。
 友だちや家族みんなとワイワイにぎやかに遊べる、本物の場所取りさながらの白熱しそうなゲームです。

 春の行楽のイメージが強い「お花見」ですが、昔の農民にとっては娯楽ではなく、秋の収穫を祈願する大切な行事でした。
 桜の花は稲の花に見立てられ、秋の実りの占いに用いられていたとのこと。桜の木は春になると山から下りてくる田の神が宿るところとされ、桜の木の下で神様を迎え、料理や酒でもてなして、田植えの前にその年の豊作を祈っていたそうです。

 「お花見」と言いつつどんちゃん騒ぎばかりで、花なんか見てないんじゃないのと常々思っていたのですが、このような由来から酒盛りにも意味があることを知りました。
 これからは、レジャーシートの上でベロンベロンに酔っぱらってどうしようもなくなってる人たちがいても、これまでよりも広い心で見守ることができそうです。

 では、今日はこれから「お花見」に行ってきます。

※行事・風習の由来については諸説あります

〈参考文献〉
『12か月の絵図鑑 季節を知る・遊ぶ・感じる』長谷川康男 監修 PHP研究所 2015年
『親子でたのしむ日本の行事』平凡社 2014年
『かこさとし こどもの行事 しぜんと生活 4月のまき』かこさとし 文・絵 小峰書店 2012年
『辞書びきえほん もののはじまり』陰山英男 監修 ひかりのくに 2010年
『こども きせつのぎょうじ絵じてん 増補新装版』三省堂編修所 編 三省堂 2009年
『ポプラディア情報館 年中行事』新谷尚紀 監修 ポプラ社 2009年
『はじめて知る みんなの行事とくらし』学習研究社 2008年
『親子で学ぶ 季節行事とマナーの基本』クレア 編著 毎日コミュニケーションズ 2007年

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