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2016年2月16日 (火)

ふろくの花園 30.少女とふろくの歳時記 節分・豆まき

 「鬼は~外! 福は~内!」 2月3日ごろ、このかけ声とともに行われる節分の豆まき。
 小学生のころは、給食にでた豆を見てテンションの上がった男子がぶつけ合いを始めて先生に怒られていたり、家での豆まきが小銭も混ぜた「金まき」だったため、姉と競い合って必死に拾い集めたり、「自分は10粒ぐらいでいいけど、お父さんとお母さんは豆をたくさん食べなくちゃいけなくて大変だなあ」と余計な心配をしたりと、様々な思い出があります。

 「独特のかけ声とともに豆をまいて鬼を追い払う」
 なぜ節分にこのようなことを行うのでしょうか。そもそも、なぜ節分というのでしょうか。

 春、夏、秋、冬、それぞれの季節が始まる日のことを、立春、立夏、立秋、立冬と呼びますが、季節の境目となるそれらの前日のことを、季節を分けるという意味で「節分」といいます。昔は立春、立夏、立秋、立冬の前日をすべて節分と呼んでいましたが、今では特に立春の前日(主に2月3日)を指すようになりました。
 昔は立春が1年の始まりとされていたため、立春の前の日の節分は大みそかに当たりました。奈良時代に中国から伝わった大みそかの行事が、鬼を追い払う宮中の儀式「追儺〈ついな〉」となり節分と結びつき、これが江戸時代に庶民の間にも広まったのが現在の豆まきとされています。
 節分に豆を使うのは、大豆に穀物の霊がやどっていて悪霊を寄せ付けない、邪気を払う、鬼の目を打つ「魔目」、魔物をやっつける「魔滅」など、多くの説があるようです。
 また、「鬼は外」「福は内」という独特のかけ声には、新しい年を迎える前に、豆をまいて家の中にある悪いもの「鬼」を追い払い、幸せやうれしいこと「福」が入ってきますようにという意味が込められていました。

 そして、人気漫画のキャラクターと節分・豆まきを楽しめるふろくも登場しています。

 「ちびまる子ちゃん 豆まき福笑い(りぼん 1991年2月号)」は、「豆まき」をモチーフにお正月の遊びである「福笑い」をやってみようという、年末発売の2月号ならではの、お正月から節分まで楽しめるアイデアゲーム。目かくしをして、顔のパーツと鬼の小道具(ツノ、金棒、虎の毛皮)をはだかん坊まるちゃんの上にのせ、まるちゃんの小鬼を完成させます。

 さて、鬼といえばツノと虎皮というイメージが浮かびますが、鬼は鬼門という北東の方角から来ると考えられていました。昔は北東を「丑寅〈うしとら〉」といったことから、牛のようなツノを生やし、虎皮を身に着けた鬼の姿が生まれたといわれているそうです。

 「赤ずきんチャチャ 節分セット(りぼん 1999年2月号)」は、組み立て式の鬼のツノと豆を入れるマスのセット。鬼役の人はツノをつけて、マスには豆をたくさん入れて、みんなで楽しく豆まきごっこができそうですね。豆まきが終わった後のマスを小物入れとして使えるというアイデアも少女漫画雑誌のふろくらしさがあります。

 近年では、もともと関西地方で盛んだった「恵方巻」の習慣がすっかり全国的に定着したりと、自分の子ども時代とは変わってきた部分もありますが、鬼の面付きのマスに入った豆がスーパーに並んでいるのを目にすると「そろそろ節分が近づいてきたな」と、ワクワクした気持ちになります。

 大人になった今でも、福を招こうと家で豆まきをしていますが、独特のかけ声や鬼のお面、豆をまくというイベント的要素を楽しむだけで、それらの由来や意味をこれまであまり考えたことはありませんでした。

 「年中行事のふろくを通じて、少女たちだけでなく大人たちも改めてその行事のことを知る」

 今回、節分にちなんだふろくを見つけ、その由来や意味に興味を持ったことで、また一つ、ふろくの役割に気付かされました。

※行事・風習の由来については諸説あります

〈参考文献〉
『12か月の絵図鑑 季節を知る・遊ぶ・感じる』長谷川康男 監修 PHP研究所 2015年
『親子でたのしむ日本の行事』平凡社 2014年
『かこさとし こどもの行事 しぜんと生活 2月のまき』かこさとし 文・絵 小峰書店 2012年
『親子で学ぶ 季節行事とマナーの基本』クレア 編著 毎日コミュニケーションズ 2007年
『まるごとわかる 365日ものしり百科 2月』谷川健一 監修 日本図書センター 2005年

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