« 2015年12月 | トップページ | 2016年2月 »

2016年1月の3件の記事

2016年1月16日 (土)

チクチク☆ハンドメイド

 昭和50年代の小学生時代、手芸遊びといえばビーズやリリヤンなどいろいろなものがありましたが、中でもフェルトを縫い合わせてマスコットを作ることが人気手芸の一つでした。特に5年生になって家庭科の教材で裁縫箱が配られると、自分の針と糸を持てたことがうれしくて、図書館でフェルトマスコット手芸の本を借りては、家にあるフェルトを使って女の子や動物のマスコットをチクチクと作っていたものです。

 少女たちがフェルト手芸を楽しんでいたこの頃、昭和53年4月に国鉄が雑誌の付録に不織布の使用を承認したこともあり、フェルト風の厚手の不織布を自分でチクチクと縫って、マスコットや小物入れを手作りできるふろくが登場します。

 マスクやウェットティッシュ、エアコンのフィルター、テーブルクロスなど、今や日常生活の様々な場面で見かけるようになった不織布。“不織”とは織ったり編んだりしていないという意味です。繊維を細かい針でからませたり、熱や接着剤を使って布状にしたもので、材料や作り方によって用途に合わせた機能を付け加えることも可能なため、幅広い製品に使用されています。少女漫画雑誌のふろくにおいても昭和55年ごろから、不織布を使用した“新素材”バッグが続々と登場するようになりました(22.規制への挑戦 (2)水にも強い新素材 参照)。

 写真左:陸奥A子のマスコットドール(りぼん 昭和54年5月号)
 写真中:太刀掛秀子のラブ・ポシェット(りぼん 昭和54年10月号)
 写真右:リッキーの手芸セット(ちゃお 昭和55年5月号)

 これらの不織布手芸セットは「不織布という布のような紙なのでジョーブよ」「特殊な布なのでジョーブ!」「不織布だから扱いは超簡単」といったコピーで、新しい特別な素材であることを強調していました。

 「マスコットドール」は、イラストを切り抜いて糸で縫い合わせ、中にティッシュなどを詰めて綴じると、手のひらサイズのマスコットが簡単に作れます。
 「ラブ・ポシェット」は、イラストを切り抜いて真ん中で二つ折りにし、両側を表から縫って、両はじにコンパスなどで穴をあけ、セットのひもを通せばペンシル型のキュートなポシェットのできあがり。
 「リッキーの手芸セット」は、パーツごとに切り、セットのししゅう糸で点線上を縫い合わせると、ポケットつきのかわいい小物入れができちゃいます。

 『りぼん』のふろくに初登場となった不織布の「マスコットドール」。実はつける前に、「このごろの子は作るなんて、まどろっこしいことは苦手だし、興味ない」「完成品でなければダメだ。作ったって、どうせ失敗してゴミ箱行きだ」という反対意見がかなりあったそう。少女たちに“モノづくり”の機会を与えることもふろくの役割の一つだと思っていたので、この時代でも作り手側からこのような意見が出てきたということがとても意外でした。しかし、そんな声を強引にはねのけて登場した“モノづくり”ふろくは大反響を呼ぶこととなり、翌6月号のふろくファンルームに掲載されたおたよりのほぼ全てが、この「マスコットドール」に関するものでした。ふろく担当のリョーコ記者いわく「大好評のレターが殺到したときは感涙にむせんだ」とのこと。

 読者の少女たちは、ただ説明通りに作って終わりではなく、手芸が好きな子も苦手な子も自分なりに工夫してオリジナルのものを作って楽しんでいたようです。

 「マスコットドール」は、余白のイラストを切り抜いてアップリケとして使ったり、マスコットの中にコーヒー豆を入れたり、中に詰めるティッシュに香水をふりかけたりして匂い袋として楽しむ少女たちも。
 「ラブ・ポシェット」はセットのひもが長さ規制のため肩にかけるのには短かすぎて、ポシェットとしては使えないという事態が発生することに。それでも少女たちは、お部屋にぶらさげて状差しとして使ったり、自分で毛糸を編んで肩ひもを作ったり、ひもをつけずにハンカチケースとしてカバンに入れたりと様々な使いみちを考え出しています。
 やはり、お裁縫が苦手な少女たちからは「大反対!」「作れなかった」というおたよりも届いたのですが、そんな子向けに、ボンドで貼りつけたり、白い紙を間にはさんで不織布をメモ帳の表紙にするなど、縫わなくても使えるものが作れるよというアイデアも寄せられました。

 こういったおたよりの数々を目にして、少女たちの創造性とオリジナリティに驚かされるとともに、“モノづくり”ふろくがそれを育む機会の一つになっていることを改めて感じ取ることができたのです。

 また、“モノづくり”とは別の話になりますが、「ラブ・ポシェット」について年長の読者からは、「ああいうもの(小さい子が持つようなもの)は私たちには持ち歩けない。りぼんを読んでいるのは小学生だけではないのだから、もう少し考えてふろくを作ってほしい」という手厳しい意見も届きました。これは小学生から社会人・主婦まで、さらには男性といった幅広い読者層だった当時の『りぼん』ならではのことで、ふろくを考えることの難しさをうかがい知ることができる一例ともいえるでしょう。

〈参考文献〉
『大研究!化学せんいのちから まんが社会見学シリーズ』森脇葵 漫画 講談社ビーシー 2014年
『日本雑誌協会 日本書籍出版協会 50年史』社団法人 日本雑誌協会、社団法人 日本書籍出版協会 2007年

2016年1月29日 (金)

ふろくの花園 28.少女とふろくの歳時記 お正月(前)

 日本には、古くから受け継がれてきた伝統的なならわしや、四季を肌で感じる季節の習慣、西洋から伝わった風習など、日々の暮らしにとけこんでいる様々な年中行事があります。
 そして、少女たちの好きなもの・欲しいものを詰め込んた『なかよし』『りぼん』『ちゃお』『ひとみ』のふろくにも、それらの年中行事をとりあげたものが登場してきました。
 いつも身の回りに置いて使ってほしいという思いを込めて届けられるふろくは、少女たちの日常生活に密着しているため、その季節ならではの事柄が現れるのは自然なことなのでしょう。
 ここからは、少女たちが出会う様々な季節の行事や習慣をとりあげたふろくを、「1年のうち、そのおりおりの自然・人事百般のことを記した書(『広辞苑 第六版』より)」である歳時記になぞらえて紹介していきます。
 時代の空気だけではなく、それぞれの季節の空気も感じ取っていただければ幸いです。

 それでは「ふろく歳時記」の花園へ、みなさまをご案内いたします。

 新しい年が始まった1月初旬、お正月となるこの時期は一年のうちでいちばん日本らしい、和の雰囲気を味わうことができるのではないでしょうか。
 お正月とは、1年の豊かな実りと家族の健康を人々に授けてくれる農耕の神様、歳神〈としがみ〉様を家に迎えてもてなし、前年の無事への感謝と新年の無事を願いお祈りする行事です。
 お正月の“正”には「あらたまる」「はじまる」の意味もあり、お正月とは「年のはじまりの月」をあらわしています。

 発売は前年の12月ですが、お正月特大号となる1月号のふろくは、和を感じさせるデザインが中心となり、お正月ならではの小物が数多くみられました。

 ますは、『なかよし』『りぼん』が創刊されてまだ間もない1950年代後半~1960年代、まだ完全な漫画雑誌にはなっていない、少女雑誌時代のお正月ふろくを見てみましょう。

 お正月には少女たちも当たり前のように着物を着ていたこの頃、お正月のおでかけに持っていける「晴れ着に似合う豪華さ」を強調したハンドバッグがお正月恒例のふろくになりました。

 「ダイヤモンドバッグ(なかよし 1961年1月号)」は、お正月のはれぎにぴったりの、ぴかぴか光った大型のすてきなバッグ。
 「お正月ハンドバッグ(ひとみ 1961年1月号)」は、美しい色のステキなデザインで、お正月のおでかけをいっそうたのしくするデラックスなハンドバッグ。
 「およばれ・バッグ(りぼん 1963年1月号)」は、よそゆきの洋服にもお正月の着物にもよくあう、うす桃色のハンドバッグ。
 「お正月晴れ着のバッグ(なかよし 1967年1月号)」は、デパートで売っているバッグより、ぐっとデラックスなハンドバッグ。
 「お正月おでかけバッグ(りぼん 1968年1月号)」は、ビニールにフェルトを植毛した新製品。少女雑誌ではじめての、あっとおどろくデラックスふろくです。

 居間に飾られている羽子板をそのまま小さくしたような「かざり羽子板(りぼん 1969年1月号)」は、机の上に置くと、ぐっとお正月らしく華やかになります。羽子板をかたどったふろくは、他にもしおりやハガキ、ブローチなど多数登場しています。

 お正月の遊びや手品、かくしげいなどを紹介している「お正月おたのしみブック(なかよし 1958年1月号)」や、お正月の遊びのほか、マナーや年賀状の書き方も載っている「新年ポケット辞典(ひとみ 1961年1月号)」といった、お正月を楽しく過ごすための情報が満載の別冊もついています。

 また、少女たちの学習をサポートするふろくもありました。
 まずは冬休みの宿題の定番である習字の「書き初め」。かつては仕事始めの1月2日に、その年の目標や決心を墨で紙に書き、歳神様にささげるならわしがありました。これにしたがい、子どもたちも1月2日に大きな紙に字を書いて、書が上手になるよう願うようになったといわれています。
 『りぼん』では、1962・1963・1965・1966年の1月号に「おかきぞめ手本」をふろくにつけています。これをお手本に宿題を書いた少女たちはどれくらいいたのでしょうか。
 一方、『なかよし』には、1963年から1967年の1月号に「百人一首」が登場しています。詳しい解説もついていて、ただ坊主めくりで遊ぶだけでなく、大人と同じ本格的な百人一首のルールも覚えられました。
 学習的な役割がなくなり漫画雑誌になってしまった現在では、どちらも考えられないふろくですが、「百人一首」は学校で習うだけでなく、近年漫画などで話題になったことで興味をもった少女たちも多そうなので、「もう一度ふろくになってもいいのにな」と思っています。

 次は、お正月のならわしについてのふろくを見てみましょう。

 年のはじめに神社やお寺に行き、一年の安全や幸運を祈る行事である初詣。お参りを済ませたあとのお楽しみは、おみくじを引くことです。今年の運勢を気持ち的に左右するものなので、吉がでるか凶がでるかドキドキしながら引いたおみくじを開いたものでした。

 『なかよし』では1976年から1980年の1月号に「湯島神社しあわせおみくじ」、『ちゃお』では1978年と1979年の1月号に亀戸天神の「しあわせ祈願おみくじ」をふろくにつけました。どちらも有名神社のおはらい済みという点でご利益がありそうです。ただ、「自分の手元にあるのは大吉だが、凶やほかの結果はあるのだろうか、もしかしたら全部同じ内容なのでは……」という疑惑を子どもながらに抱いてしまいました。果たして、真相はいかに――
 箱を振って逆さにすると穴からおみくじがでてくる「りぼんおみくじ(りぼん 1987年1月号)」や、上の穴からサイコロを3つ入れて箱をふり、下の穴からでた目の組み合わせでラッキーアイテムやラッキージンクスがわかっちゃう「カラカラおみくじBOX(ちゃお 2000年1月号)」など、ふろくで気軽におみくじ遊びを楽しめました。

 札に願いごとを書いて神社におさめる絵馬は、もともと神様の乗り物である馬をおさめていましたが、あまりにも大変なため、木の額に馬の絵を描いておさめるようになったことがはじまりといわれています。
 「ヘリタコぷーちゃん 新年パタパタ絵馬(ちゃお 1995年1月号)」や「おねがい!わんころ絵馬(なかよし 1996年1月号)」などがふろくになっています。

 身につけて神様に守ってもらうためのお守りも登場。「なかよし大明神 おまもり&おまもり袋(なかよし 1983年1月号)」は、『なかよし』の神様が願いをかなえてくれるとのこと。少女たちにとってはとても心強かったことでしょう。

 お正月の夜に気になることといえば、どんな初夢を見るかです。初夢とは1月1日または2日の夜に見る夢のことで、昔は夢が脳の働きによるものとはわからなかったため、夢の良し悪しで未来を占っていました。良い夢を見るために、七福神が乗った宝船の絵に回文を書いた紙を枕の下に入れて寝たりしていたそうです。
 「すてきに初夢まくら(なかよし 1989年1月号)」は、ストローで空気を入れてふくらませるビニール製のミニ枕。初夢に出てくるとおめでたい「一富士、二鷹、三なすび」のイラストが描かれています。
 なぜ「一富士、二鷹、三なすび」なのかは、「富士=無事、鷹=高く、なすび=事を成す」や、徳川家康が駿河にいたころの高い順番「富士=富士山、鷹=愛鷹山、なす=そのころ値段が高かったなす」などの様々な説があります。
 かわいく描かれた縁起ものの枕で寝ると、いい初夢が見られそうですね。

 少女たちにとってお正月の一番の楽しみは、なんといってもお年玉です。
 歳神様にそなえた丸いおもちを「年玉」といい、昔は年の初めに、いちばん年上の人から家族にこのもちが贈られるならわしがありました。ここから、年の初めに贈られる品物やお金を「年玉」とよぶようになったそうです。
 1960年代からお年玉を入れるためのポチ袋がふろくにつくようになりました。「お年玉袋(りぼん 1964年1月号)」の「中味はパパやママからいただいてね」や、「あけましておめでとうお年玉袋(なかよし 1969年1月号)」の「お正月にはこの中にお年玉を入れていただきましょう。いまから、おうちの方にわたしておいてね!」という説明書きのように、お父さんやお母さんに袋をあらかじめ渡しておいて、お正月に中身をいれてもらうという手順を想定しています。
 その後は「お年玉ください袋(りぼん 1983年1月号)」や「“たくさんちょうだい”お年玉ぶくろ(なかよし 1990年1月号)」、「お年玉よろしく袋(りぼん 1996年1月号)」「お年玉おねだり☆さいふ(なかよし 2003年1月号)」などと、ふろくの名前も願望まるだしになっています。

 さらに、「Pなつ通り おさいせん貯金箱(なかよし 1990年1月号)」や、「ふぉうちゅんドッグす 飛び出すおみくじ貯金箱(なかよし 2003年1月号)」などの、もらったお年玉を貯めておくための貯金箱も1月号によく登場するふろくの一つでした。

 どれだけお年玉をもらえるのかは、いつの時代も少女たちにとってはかなり重要な問題なのですね。

※行事・風習の由来については諸説あります

〈参考文献〉
『親子でたのしむ日本の行事』平凡社 2014年
『かこさとし こどもの行事 しぜんと生活 1月のまき』かこさとし 文・絵 小峰書店 2011年
『親子で学ぶ 季節行事とマナーの基本』クレア 編著 毎日コミュニケーションズ 2007年

ふろくの花園 29.少女とふろくの歳時記 お正月(後)

 お年玉に次ぐお正月の楽しみは、お友だちとやりとりする年賀状ではないでしょうか。
 年の初めに得意先などへ挨拶にうかがう「年始まわり」の習慣が、明治時代からの郵便制度の発達にともない、年賀状で新年の挨拶を送ることで簡略化されました。近ごろは年賀メールのやりとりも多くなりましたが、しばらく会っていない友人からの年賀状がポストに届いているのを見たときは、やはりうれしい気持ちになるものです。

 先生方の美しいイラストが描かれた年賀ハガキは『なかよし』『りぼん』の創刊当初からふろくになっていました。特に雑誌生まれのスターが輝き始める1970年代からは、少女漫画雑誌の本領発揮といったところです。
 本来の年賀ハガキとして使ってしまうと、自分の手元には残らなくなってしまうのが、雑誌を買わないと手に入らないふろくの悩ましいところ。友だちには出さずに自分宛ての年賀状にしたり、ハガキとして使わずファイルにとじてイラスト集のようにして保管するなど、少女たちはいろいろな方法で、大好きな先生方のイラストを大切にとっておきました。

 友だちから年賀状をもらうのはうれしいのですが、友だち宛てのたくさんの年賀状を書くことは、実はちょっぴり面倒くさいと思っていたりもします。
 そんな少女たちのために、年賀状を大量生産するための手助けとなるスタンプも、1980年代からふろくに登場しました。
 「あんみつ姫 お年賀スタンプ(なかよし 1987年1月号)」や、「今年もよろしくスタンプ(なかよし 1989年1月号)」といった、人気漫画のキャラクターや干支のイラストが描かれたものや、土台がスポンジのため力が入れやすくズレにくい「ムーぽん ペッタン年賀状スタンプ(なかよし 2000年1月号)」や、5個のスタンプをケースに入れてしまっておける「りぼんニューイヤースタンプ(りぼん 2000年1月号)」などが目白押し。ハガキにペタンと押すだけで、かわいい年賀状がラクチンに作れるようになりました。

 昔ながらのお正月遊びもふろくに登場しています。

 明治時代から雑誌の正月号恒例の付録である双六は、印刷技術が発達した江戸時代からお正月の遊びとして広まりました。“ふりだし”から“上り”までの間に起こるドラマの数々を味わうのも双六の醍醐味です。
 「日本はやまわりすごろく(なかよし 1957年1月号)」、「ヨッちゃんまんがすごろく(なかよし 1966年1月号)」、「新年GS〈グループサウンズ〉スゴロク(りぼん 1969年1月号)」、「あきらとみいこ 1・2・3・4・5・6〈いちにーさんすーごろく〉(ひとみ 1983年1月号)」、「ランゼと曜子 タイムトラベルすごろく(りぼん 1986年1月号)」、「ちゃおオールスター レジャーランドでGO! 大すごろく(ちゃお 1994年1月号)」、「年越しカウントダウンすごろく(なかよし 1996年1月号)」、「お正月お楽しみスゴロク(りぼん 2006年1月号)」など、『なかよし』『りぼん』の創刊時から年度を問わず、様々なテーマやキャラクターで少女たちのお正月に彩りを添えました。

 お正月の遊びとして、双六に負けず劣らず人気の「福笑い」は、顔のりんかくが描かれた紙の上に、目や鼻や口といった顔のパーツを目かくしをして並べていきます。江戸時代の後期から遊び始められたといわれ、明治時代にお正月の遊びとして盛んに行われるようになりました。パーツを並べ終わり目かくしをはずした時に目にする、できあがった顔の面白さに思わず笑ってしまいます。「笑う門には福来る」のことわざのように、新年の福を願って行われる遊びです。
 「くるみちゃんトモ子ちゃん 福わらい(なかよし 1956年1月号)」、「かのこちゃん福わらい(なかよし 1960年1月号)」、「ジュリーのおめでとうふくわらい(なかよし 1969年1月号)」、「亜土ちゃんふくわらい(りぼん 1971年1月号)」、「ペアで福笑い(ひとみ 1983年1月号)」、「お父さんは心配性 お父さん福笑い(りぼん 1987年1月号)」、「みい子&ムカムカ 新春まんぷくふくわらい(ちゃお 1994年1月号)」、「風子ちゃん 福笑い(りぼん 2002年1月号)」など、双六同様年度を問わず、その当時の人気スターや人気漫画のキャラクターが登場しました。

 少女たちのお正月の外遊びといえば、羽子板で羽根を打ち合う「羽根つき」です。ミスをしたら顔に墨を塗られるペナルティもあって、結構真剣になってしまいます。
 羽根つきに使う羽根はトンボをかたどっていて、トンボは蚊を食べるため子どもたちが蚊にさされないおまじないとして、室町時代から宮中で行われていた遊びです。江戸時代から一般に広まり、お正月の女の子の遊びとなっていきました。
 本来は外で遊ぶ羽根つきを、家の中で楽しめるのが「ぴちぴち羽根つきルーレット(なかよし 2003年1月号)」です。羽子板で羽根を打ち合う代わりに、ルーレットを回し合ってその指示に従います。ミスをした場合は顔に墨を塗る必要はなく、ゲーム台紙に描かれたキャラクターの顔に墨のようなシールをはるだけなので、汚れず安心です。それでも、ルーレットが指す12個のマスのうち8つが自分か相手のどちらかにシールをはる内容なので、気は抜けません。大人がこのゲームで遊ぶときは、ほぼ100%遊んでいる本人の顔に何かをするルールに変わることでしょう。なかなか盛り上がりそうなゲームです。

 そして、読みあげられた札に合うものを、場に広げられた札の中から探して取る「かるた」もあります。室町時代にポルトガルから伝わったカード(トランプ)に、日本で古くからあった「歌貝」という和歌の上下を合わせる遊びが結びついて、今のような遊び方ができたといわれています。江戸時代のなかごろからお正月の遊びとして広まりました。
 「どうようかるた(りぼん 1956年1月号)」、「世界名作おひめさまかるた(りぼん 1957年1月号)」、「ナナ子バレーかるた(なかよし 1960年1月号)」、「おしゃれかるた(りぼん 1960年1月号)」、「社会科かるた(なかよし 1963年1月号)」、「スターかるた(りぼん 1966年1月号)」、「きんぎょ注意報! わいわいキャラクターカルタ(なかよし 1992年1月号)」、「チャチャ 新春ワンワンかるた(りぼん 1994年1月号)」、「ちゃおオールスターかるた(ちゃお 1996年1月号)」、「りぼんオールスター プチかるた(りぼん 1997年1月号)」、「なかよしオールスター ラッキーお年玉かるた(1998年1月号)」、「りぼんアイドル スーパーかるた21(りぼん 2001年1月号)」など、こちらも年度を問わず親しまれていたふろくです。枚数が多く、読み札に説明的な内容も入れられるカルタは、一つのテーマ、特に漫画作品やキャラクターについて大量の情報を読者である少女たちに伝えられるというメリットも持ち合わせています。少女たちは楽しく遊びながら、自分が読んでいる雑誌の漫画やキャラクターを知らず知らずのうちに覚えることができたのです。

 かるたと並ぶカードゲームであるトランプは、お正月の遊びというわけではなく、季節を問わず人気の遊びですが、家族や親せき、友だちなど大勢で集まる機会が多いお正月に遊べるよう、1960年代の「ふたあつあそべる トランプかるた(なかよし 1962年1月号)」や、「62年型ハッピートランプ(りぼん 1962年1月号)」の頃から1月号定番のふろくとなりました。ただ、1980年代後半からは、旅行などレジャーのおともにもできるよう、夏休みの定番へと移ってきています。
 そんな中、『ちゃお』がここ数年、「ちび☆デビ! ちび☆コミックトランプ(2012年)」、「ちゃおキャラ大集合!神笑い!!ちゃおだじゃれトランプ(2013年)」、「爆笑!!JSあるあるトランプ(2014年)」、「ちゃおバラエティトランプ2015(2015年)」と1月号にトランプをつけたことで、「今でもトランプはお正月のふろくの一つなんだ」と、なぜかホッとした気持ちになりました。

 また、1980年代までのふろくのトランプには、ケースなどに「児童用トランプ」と書かれているものがあり、子どもの頃は「トランプに子ども用と大人用があるのかな?」と不思議に思っていたものです。1989年に消費税が導入されるまでは、トランプや花札などのギャンブル性の高いカードゲーム類に対して税金が掛けられていて、子ども向けのものは課税の対象外だったため、子ども向け雑誌の付録にトランプをつける場合には「児童用トランプ」の表記を入れていた、ということを大人になってから知ることができました。

 そして近年、日本のお正月はデジタル化や国際化が進んだり、元日から街が動き出すようになったことなどで、昔のようなお正月らしさがなくなってきたと言われています。
 『なかよし』『りぼん』『ちゃお』のふろくも実のところ、“ホンモノ”ふろくやオシャレなデザインの大きなふろくがメインとなり、紙製の細々としたものが少なくなってきた2010年ごろから、お正月らしさをはじめとする季節を感じさせるふろくが姿を消しつつあるのが現状です。

 それでも、お正月に役立つ“ホンモノ”ふろくが現在でも登場しています。 

 自分でデザインできるシリコンスタンプとスタンプパッド2色に、メッセージカードやデコシール、おみくじシールがついて、オリジナルカードが簡単に作れる「おうちでプリント屋さんセット♪(なかよし 2013年1月号)」
 ネオンカラー筆ペンとネオンクレヨンマーカーの極上ペンセットにお正月限定柄のマスキングテープのほか、スクラッチシールや金フチクリアシール、イラストベースシールなどでオリジナルのシールが作れる、年賀状をかわいくするためのフルセット「キラ☆チェン年賀状デコセット(りぼん 2015年1月号)」
 デコテープに3ステップスタンプ、初笑いシール、スクラッチシール、クリアフレームシールで、華やか年賀状がカンタンにできるテクがぎっしりの「年賀状デコセット2016(りぼん 2016年1月号)」といった、“ホンモノ”ふろくならではの文房具ラインナップを駆使した、年賀状を作るためのふろくです。
 メールとLINEの普及や年賀ハガキの売上げが年々少なくなっていったりと、少女たちの間にも年賀状離れが進んでいると思いきや、“デコる”ことが大好きな彼女たちにとって、その“デコ熱”を存分に発揮できる年賀状はまだまだ大切なコミュニケーションツールの一つであるようですね。

 もう一つは、もらったお年玉を入れておく貯金箱なのですが、紙製の組み立てふろくではない新世紀の“ホンモノ”ふろくは、かなり本格的なモノになっています。
 「金運上昇!ATM型貯金箱(ちゃお 2016年1月号)」は、カードと暗証番号がついた貯金箱。カードをさして、あらかじめ設定されている4ケタの暗証番号をプッシュすると引き出しがオープンするというATM風システムで、コインが約30~40枚入り、500円玉なら15,000円分貯められます。金運アップに効くイエローカラーで幸運の4つ葉だけでなく、さらに幸運を呼ぶ6つ葉のクローバーも描かれていたりと、縁起が担がれているところにもお正月らしさを感じさせます。

 少女たちに日本の四季、伝統、行事を伝えるという、ふろくの大切な役割の一つがなくなりつつあることに対して寂しい思いを抱くのは、おそらく自分だけではないでしょう。
 子どもたちに様々な年中行事に親しんで、身近に感じてほしいという願いは、私たち全ての大人が共通して持っているものなのです。

※行事・風習の由来については諸説あります

〈参考文献〉
『親子でたのしむ日本の行事』平凡社 2014年
『かこさとし こどもの行事 しぜんと生活 1月のまき』かこさとし 文・絵 小峰書店 2011年
『親子で学ぶ 季節行事とマナーの基本』クレア 編著 毎日コミュニケーションズ 2007年
『おもちゃ博物館6 双六・福笑い』多田敏捷 編 京都書院 1992年

« 2015年12月 | トップページ | 2016年2月 »

管理人プロフィール

まぼろしチャンネル

  • powered by.

    ...トップページへ移動
無料ブログはココログ