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2015年11月30日 (月)

ふろくの花園 25.新世紀のふろくの花園 (3)オシャレが大好き!

 少女たちの“オシャレ大好き”パワーが、少女漫画雑誌『なかよし』『りぼん』『ちゃお』のふろくのスタイルを変える!?
 人気漫画のキャラクターグッズからオシャレなファッショングッズへ。新世紀の少女たちのニーズを取り入れた“ファッショナブル”なふろくとは、どのようなものなのでしょうか?

 21世紀に入り、小学生ぐらいの女の子を街で見かけると、服装やヘアスタイル、持ち物などが自分の子ども時代とは比べ物にならないほど可愛くカッコよく決まっていて、みんなオシャレになったなあと感じます。デパートやショッピングモールの子ども服売り場にはジュニア向けブランドの洋服が並び、子ども向けの化粧品やメイク道具までもが販売されています。昭和50年代に小学生だった自分は「オシャレなんてまだ早い」と親に散々言われ、親の選んだ洋服を着せられていたものでした。しかし今では少女たちに向けたファッション情報やアイテムが増加し、オシャレを取り入れたゲームも人気です。親世代はもちろんのこと世の中全体が、子どもが主体的にオシャレを楽しみファッションにお金をかけることに寛容になっているようで、うらやましい限りです。

 20世紀の終わりから21世紀のはじめにかけて、『なかよし』や『りぼん』を卒業する世代であるローティーン・主に中学生の少女たちをターゲットにしたファッション情報誌が次々と登場します。1995年にこれまでの占い・心理テスト中心から、ファッション専門誌としてリニューアルした『ピチレモン』を皮切りに、1997年には『nicola〈ニコラ〉』、2001年には『ラブベリー』『melon〈メロン〉』『CANDY〈キャンディ〉』の3誌、2003年には『Hana*chu→〈ハナチュー〉』が創刊されました。ファッションや美容、生活情報など女性ファッション誌の入門誌的な構成で、ファッショングッズや文房具などのふろくもついています。2003年から2005年にかけてがこの6誌が競い合う、ローティーン向けファッション誌がいちばん盛り上がりを見せていた時期でした。“ホンモノ”ふろくをつけられるようになったことも、この創刊ラッシュを後押ししたのではないでしょうか。しかしそれ以降は次々と休刊してしまい、2015年の『ピチレモン』休刊後は『nicola〈ニコラ〉』のみが生き残り、少女たちに支持され続けています。

 そしてついに、『なかよし』『りぼん』『ちゃお』とターゲットを同じくした、小学校高学年の少女たちに向けたファッション情報誌も登場しました。2009年に『ニコ☆プチ』、2011年に『JSガール』、2013年に『キラ☆ピチ』の3誌が創刊され、現在も隔月で発行されています。生活情報記事も多数掲載している『ニコ☆プチ』、読者スナップや撮影会など参加型企画に力を入れている『JSガール』、人気キャラクター情報も満載の『キラ☆ピチ』と、それぞれ個性を持った雑誌たちです。どの雑誌にも、「SISTER JENNI〈シスタージェニィ〉」「RONI〈ロニィ〉」「ZIDDY〈ジディー〉」「mezzo piano〈メゾピアノ〉」「EARTHMAGIC〈アースマジック〉」「Lindsay〈リンジィ〉」「ANGEL BLUE〈エンジェルブルー〉」といった人気ジュニアブランドや人気キャラクターとコラボした、バッグやアクサセリーなどのファッショングッズや文房具などのふろくがついています。


 2014年の発行部数を見ると『nicola〈ニコラ〉』が約15万部、『キラ☆ピチ』が約13万部、『JSガール』が約85000部、『ニコ☆プチ』が約74000部となっています。ちなみに同年の『なかよし』は約14万部、『りぼん』は約20万部、『ちゃお』は約54万部で、公称部数もありますが少女漫画誌に迫ろうかという勢いです。少女漫画誌の発行部数が落ちてきている中、“女の子が最初に必ず通る道”と言われてきた『なかよし』『りぼん』『ちゃお』を手に取らないで、いきなりファッション情報誌から読み始める少女たちも出てきているのかもしれません。漫画はあくまでも創作物・フィクションを楽しむものですが、ファッションは自分自身が楽しめるリアルムーブメントです。それも少女たちがオシャレをしたくなる一因なのでしょう。ファッションにふれて興味を持つ年齢は下がってきており、少女たちは「もっとオシャレな女の子になりたい」「もっとオシャレなモノがほしい」と日々願い、そうなるための情報を求めているのです。

 そんな少女たちにも雑誌を手に取ってもらうため、『なかよし』『りぼん』『ちゃお』も21世紀に入ると、ファッショングッズのふろくに力を入れ始めます。紙での再現が難しい、ファッショングッズの現物をふろくにできることは、規約改正のメリットの1つでした。
 練り香水が8種類入った「香りメイクパレット(なかよし 2014年3月号)」や、ネイルアートが楽しめるマニキュア・ネイルシール・つめみがきのセット、パレット式のリップグロスなどのコスメ類に、ブレスレットやネックレス、指輪、ヘアゴム、カチューシャ、シュシュなどの“連載漫画のキャラクターとおそろい”をウリにしたモノもあるアクセサリー。そしてミラーやブラシ、ハンカチやタオルなどの身だしなみグッズといった、“ホンモノ”ふろくの数々で、より多様に少女たちのニーズに応えられるようになりました。

 バンダナやリストバンド、財布、マフラー、くつした、ブランケット、ビーチサンダルなどの“ホンモノ”ふろくも登場します。これまでは紙やビニール製の手さげや組立式のケースだったバッグ類は、ポーチ、ファーバッグ、ショルダー、メッセンジャーバッグ、リュックなど、いろいろな形や素材で市販品と同等のものをふろくにすることができるようになりました。


 これらのファッショングッズふろくは、特に2008年ごろから漫画やキャラクターのイラストを使わずに、ロゴデザインや模様柄などが目立つようになりました。「オシャレっぽくないとダメ!」という少女たちの気持ちを受けたからなのでしょう、漫画色を極力なくしてファッション性を高めています。これまでは、少女漫画誌のふろくといえば人気漫画のキャラクターグッズだったのですが、女の子の絵が消えることでファッショナブルなグッズへと生まれ変わりました。
 少女たちの“オシャレ大好き”パワーは、『なかよし』『りぼん』『ちゃお』のふろくのスタイルを変えてしまうほどの影響力を持っていたのです。

 さらに『なかよし』と『ちゃお』では、人気ジュニアブランドが全面協力した漫画とふろくも登場します。
 『ちゃお』では2003年に「mezzo piano〈メゾピアノ〉」とコラボして『シンデレラコレクション』の連載を開始。真面目で優等生の主人公がオシャレに目覚め、雑誌の読者モデルとして活躍するストーリーです。
 『なかよし』では2007年に「ANGEL BLUE〈エンジェルブルー〉」とコラボして『夢みるエンジェルブルー』の連載を開始。オシャレ大好きの主人公はフツーの中学生だったけど、ある日才能を認められ「エンジェルブルー」のデザイナーとしてナイショでデビューすることになるというストーリーです。
 どちらも漫画の連載中に、ブランドのロゴやキャラクターがデザインされたファッショングッズがふろくになりました。


 『なかよし』は2010年から2011年にかけても、「BLUECROSS GIRLS〈ブルークロスガールズ〉」「Pink shower〈ピンクシャワー〉」「ZIDDY〈ジディー〉」「SISTER JENNI〈シスタージェニィ〉」「RONI〈ロニィ〉」「INNER PRESS〈インナープレス〉」といった人気ジュニアブランドとコラボしたふろくを毎号のように登場させています。人気ブランドの、お店で買えないレアなオリジナルアイテムが雑誌を買うだけでもらえるのは、ブランドアイテムが欲しくてもなかなか手が届かない少女たちにとっては、何よりのプレゼントとなったことでしょう。

 これらのファッショングッズふろくを次号予告で紹介するときのコピーもまた、女性ファッション誌を意識した用語や言い回しを使い、ファッション性をアピールしています。
 「MOE甘ガーリーチェックショルダーバッグ(ちゃお 2012年6月号)」→“ワンピでガーリッシュに”“シンプルコーデのアクセントに”
 「シャイニーパープル キラつやガーリー長ざいふ(ちゃお 2013年3月号)」→“カジュアルコーデにもハマる!!”
 「チェンジング☆ショルダーバッグ(ちゃお 2015年10月号)」→“短めショルダーでスポカジミックス”“ラブリーコーデにピッタリ!”
 「ふわもこキャンディソックス(りぼん 2011年11月号)」→“甘カワなキャンディカラーにキュン”
 「姉カワローズマフラー(りぼん 2012年1月号)」→“クールガーリーなデザインだから、毎日のおしゃれにヘビロテ確実!!”
 「フレンチモードタンブラーポーチ(りぼん 2014年10月号)」→“パリのカフェモチーフが姉カワ”
 「NAKAYOSI×Pink shower〈ピンクシャワー〉 超ゴーカルームグッズ☆(なかよし 2010年12月号)」→“ラブリーピンクがゆるかわ”
 「サマースター☆アクセセット(なかよし 2010年8月号)」→“チャーム×3のネックレスで強めコーデが完成!”
 「NAKAYOSI×SISTER JENNI〈シスタージェニィ〉 ロングウォレット(なかよし 2011年2月号)」→“シグネチャー柄がオシャレ☆”

 『なかよし』『りぼん』『ちゃお』が誌面やふろくにファッションを取り入れたことで、“オシャレ大好き”少女たちならではの、新しい雑誌生まれのスターが誕生しました。
 それは漫画雑誌生まれだけれど漫画ではない、読者からの応募で選ばれて次号ふろくの予告やプレゼントのお知らせ、特集企画などに登場する“読者モデル”です。彼女たちはいわば“読者の代表”的な位置づけで、『なかよし』では「なかガール」、『りぼん』では「りぼんガール」※一般読者からの応募は2009年で終了、『ちゃお』では「ちゃおガール」と呼ばれています。読者の少女たちにとって、同年代の“読者モデル”たちは憧れのアイドルであると同時に、友だちになれそうな身近な存在でもあったのです。 

 少女たちの生活に“オシャレ”が浸透していくことにより、少女“漫画”雑誌とそのふろくのあり方がまた変化を見せてきました。
 もはや目玉的なふろくとなったファッショングッズなのですが、どうも『ニコ☆プチ』や『JSガール』のふろくと似たような印象を受けてしまいますし、どの雑誌のふろくなのか区別があまりつきません。以前はふろくに描いてある漫画のキャラクターで、どの雑誌のいつごろのふろくか大体の見当はついていたのですが、漫画のイラストがなくなってしまったため、ふろくを見ただけでは何のいつのふろくかがわかりにくくなってしまいました。昭和50年代に誕生した雑誌生まれの3大スターの輝きが弱まったことで、ふろく自体の個性も弱くなってきてしまったのかもしれません。そして、ふろくの材質は違っても、漫画やキャラクターにこだわらない少女たちが好みそうなデザインという点では、手作り感あふれるブローチなどのオシャレグッズがついていた昭和30年代の少女雑誌時代にまでも戻りつつあるようです。

 そして、『なかよし』『りぼん』『ちゃお』のふろくの大部分をファッショングッズが占めた2010年前後には、いくら流行っているからといって、本誌とあまり関係のないバッグやアクサセリー、化粧品などを子どもたちにただ与えるだけでよいのか? と危惧する気持ちもありました。しかしここ数年は、一時のようなファッショングッズ頼みのふろくということはなくなり、文房具や他の実用品、漫画のキャラクターなどともバランスよく届けられるように心配りがされているように思えます。

 ただ現物を与えるだけでなく、創造性を育む新世紀ならではのふろくも少女たちに届けられているのです。

〈参考文献〉
『雑誌新聞総かたろぐ(1979年版~2015年版)』メディア・リサーチ・センター 1979年~2015年

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